天下りで2500万?!
――古賀茂明氏が語る、官僚側の論理
写真はイメージ Photo by Fumiaki Hayashi on Unsplash
天下りはなぜなくならない 事務次官OBの年収2500万円と「当然の権利」
事務次官を務めた人が、天下り先で受け取る年収は2500万円近く。週刊新潮2026年10月22日号をもとに、デイリー新潮が11月5日に配信した記事で、通産省(現・経済産業省)の元官僚で政治経済評論家の古賀茂明氏がそう話している。しかも、報酬は仕事の量に見合っているわけではないという。「彼らが報酬に見合った仕事をしているかというと、そんなことはありません」。では、なぜ誰も止めないのか。
2500万円の中身と、年に1,926件の届け出
古賀氏によれば、天下りは一部の話ではない。「財務省や経済産業省、国交省といった有力な省庁であれば、キャリア官僚のほぼ全員が天下りしています」。報酬のほかに「個室、秘書、社用車、そして交際費まで用意されることもある」とも話す。
2500万円を月でならすと、約208万円だ。いま現役の事務次官の年収と比べてみる。人事院勧告のあとのモデル給与例では、事務次官の年間給与は2,609万円。行政職の平均は739万円。つまり天下り先の2500万円近くは、現役の次官の年収とほぼ変わらない額になる。
数も出ている。内閣官房内閣人事局は、本府省の企画官に相当する職以上の管理職が辞めてから2年以内に再就職した場合、その届け出をまとめて公表している。2025年度(令和7年度)分は1,926件。公表は2026年10月2日で、行き先は営利法人が646件、一般社団法人・一般財団法人が326件、自営業が187件と続く。11月5日の時点で、これより新しい公表は出ていない。
「当然の権利だ」という、官僚側の言い分
古賀氏は、国民の受け取り方を示したうえで、官僚側の理屈も並べている。「国民から見れば“ふざけるな”という話です。が、官僚側にはまったく異なる論理がある」。その論理が、これ。
「自分たちは東大法学部などを出た一番頭のいい人間なのに、国会での叱責や徹夜の作業、そして安月給に耐えてきた。天下りは当然の権利だ」
やり方は変わったという。「昔のように省庁の秘書課や人事課、官房長、事務次官が直接指示を出し、組織的に天下り先をあっせんすることは禁止されています」。いまは「例えば元官僚が70歳くらいで天下り先をリタイアする際に、古巣に声をかけて後任を迎え入れる形が取られています」。
禁止は、形だけではない。国家公務員法第106条の2第1項に違反したと認められた例がある。公正取引委員会は2023年8月1日、元事務総長が在職中に、ほかの職員の情報を第三者を介して法人へ渡していたと発表した。再就職等監視委員会の調査を受けたもので、公正取引委員会は元事務総長に、4か月間、給料の月額の10分の2を減らす処分に相当する額の自主返納を求めた。
古賀氏がいちばん心配するのは、お金そのものではない。「天下りの最大の問題点は、行政や政策がゆがめられてしまうことです」。天下り先になっている業界の規制を、役所が緩めにくくなる、という話だ。
ネットの評判
この記事のヤフーのコメント欄には、11月5日午前の時点で157件が並んでいる。多いのは批判だ。企業が高い報酬を出すのは、許認可などで便宜を図ってもらう期待があるからだ、という指摘。採用や仕事の透明性と、利益相反をどう防ぐかを論じてほしい、という声もある。
一方で、少数だが別の言い分も出ている。民間に比べて著しく低い賃金を、生涯の収入で埋め合わせる意味があった、という見方。天下りを禁じた結果、東大生をはじめ優秀な学生の公務員離れが進んでいる、と心配する人もいる。優秀な人に公務員を目指してもらうため、天下りに劣らない待遇を正当な権利として制度にすべきだ、という意見まである。会社の側から見れば、事業を分かっている官庁OBは無難な選択だ、という書き込みもあった。
官僚側の言い分と、ネットの少数意見には、ひとつ共通の前提がある。官僚の給料は民間より安い、という話だ。ただ、人事院の見本では、事務次官の年間給与は2,609万円。行政職の平均739万円の3.5倍ほどにあたる。
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