うちのソース付けて食うわ
日本人は何も言えんやろ

――フランスから投稿した人が、日本人に

写真はイメージ Photo by Kalindu Waranga on Unsplash

10/29 15:17 / 発信国:フランス / 記者:工藤

「寿司にアルジェリアソース」で煽られた日本側、自作の材料費を計算してみた

「寿司にアルジェリアソースをかけて食べる。日本人には何もできない」。10月下旬、Xにフランスからそう書き込まれたのが、この話の発端です。ところが返ってきたのは反発ではなく、「そのソースは何ですか」「レシピは。日本でも作れますか」という質問でした。数日のうちに、自分でソースを作って寿司にのせた人の投稿が並びました。

発端の投稿と、返ってきた質問

まとめサイトのトゥギャッターに残っている原文は「J’suis enfin en France je peux faire mon combo sushi + sauce algérienne les japonais il vont rien faire mgl」。日本語では「ついにフランスに着いたぜ、日本食の寿司+アルジェリアンソースのコンボがようやくできる。日本人どもは何もできねえよ」と訳されています。

煽りとして投げられた一言でしたが、日本側が食いついたのはソースの中身でした。投稿した本人も最後には「日本人諸君には今はただ拍手するしかない」と書き、この先は日本中のくら寿司とスシローにこれが必要だ、と続けています。

アルジェリアソースとは

英語版ウィキペディアの説明では、黄色みがかったオレンジ色をした、甘くて辛いソースです。フランス、ベルギー、スイス、カナダのケベック州、それにアルジェリア、チュニジア、モロッコのケバブ店やフライドポテトの店で出てくる定番です。1876年のフランスの本『Le livre des menus』には、すでに名前が載っているとされています。

材料は、マヨネーズと同じ油と卵黄に、マスタード、エシャロット、黒こしょう、酢、そして唐辛子かハリッサを加えたもの。トマトやアンチョビ、ケッパーが入ることもあります。ベルギーの食品会社ナワルズの公式サイトに載っている商品表示では、菜種油40%、トマトペースト、ぶどう糖果糖液糖、玉ねぎ13.6%、酢、卵黄3.6%の順に並んでいました。

名前はアルジェリアでも、生まれはベルギーかもしれない

筆者がいちばん引っかかったのはここです。フランス語版ウィキペディアは、いま流通している工業製品としてのアルジェリアソースは「ベルギー発祥である可能性が高い」と書いています。そこで名前が挙がっているのが、先ほどのナワルズ。公式サイトによれば本社はベルギーのビルボルデにあり、創業者はモロッコ系ベルギー人とされています。

つまり、本場の味として日本に投げつけられた一品は、本場がどこなのかがはっきりしません。名前の付いた国で広く食べられているのは事実ですが、瓶に詰まって世界に出ていった形は、別の国で生まれたかもしれません。挑発の道具にするには込み入った出自だな、と筆者は思いました。

自作の材料費を計算してみた

日本で作るといくらかかるのか。海外のレシピサイト「The Fiery Vegetarian」の分量は、12人分でマヨネーズ1カップ、ハリッサ大さじ3〜6、トマトペースト大さじ1.5、赤玉ねぎ小1個、にんにく1〜2片、レモン汁大さじ1〜2、クミンと砂糖が各小さじ1、パクチー大さじ2です。

マヨネーズと玉ねぎ、にんにくなどの材料
写真はイメージ Photo by Romina BM on Unsplash

価格を調べると、ハリッサは業務スーパーの180g入りが税込300円という検証記事があり、同じ店の1kgマヨネーズは税込580円と報じられています。日本の計量カップ1杯のマヨネーズを190g、大さじ1のハリッサを15gとして計算すると、マヨネーズ190gが約110円、ハリッサ45gが75円。主材料の2つで約185円です。トマトペーストや香辛料は店ごとに値段の幅が大きいので、ここでは外しました。

出来上がりは250gほどで、レシピ通りなら12回分。1回あたり約15円という計算になります。スシローのサーモンは2026年7月22日の価格改定でも税込120円からの据え置きが公式に告知されていますから、ソース1回分はその8分の1以下。手札を1枚増やす値段としては、かなり安いほうだと思います。

ネットの評判

トゥギャッターのまとめに並んだ日本語の反応は、挑発への反撃ではなく味の話がほとんどでした。実際に自作して寿司で試した人は「確かに美味い、これは間違いなく美味い」「特にこのソースと合わせるならサーモンが最適」とし、白身魚は醤油のほうが良いとも書いています。別の人は「サーモンの脂っこさをソースの酸味と辛味がいい感じに中和してくれる」と評していました。

「えびアボガドにも合うね」「軍艦巻きにしても良さそう」「チーズ乗せて炙ったらさらに美味いんじゃぁ……?」と応用に向かう声、「仕事はやすぎww」と検証の速さに驚く声、「ハリッサが業スーで買えるのが地味にありがたい情報」という実用的な声も出ています。否定的な書き込みは、このまとめの中ではほとんど見当たりませんでした。

まとめ

挑発した側が最後に手にしたのは拍手で、された側が手にしたのは1回15円の新しい味でした。どちらが得をしたかは読む人によって変わりますが、少なくとも財布の上では差がはっきり出ています。ハリッサ180g入り1本で約12回分が3セット以上できる、という数字だけ持ち帰ってもらえれば十分かもしれません。

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