挨拶で帽子くらい、
取らないの?

――名前も理由も、まだ分かっていない

11/4 16:19 / 発信国:日本 / 記者:工藤

松井秀喜に帽子を取らなかった2人は、本当に「若者」なのか

松井秀喜が、自分の帽子を取って選手に声をかけた。その横で、帽子をかぶったまま握手をした選手が2人いた。たった数秒の映像なんだけど、これがいま、えらい騒ぎになっている。

10月30日、川崎市のジャイアンツ球場。読売ジャイアンツの新監督になった松井秀喜(52)が、秋季キャンプの初日を迎えた。選手一人ひとりと向き合って、握手をして、ひとことずつ言葉をかけた。球団の公式Xが、その場面の動画を出した。

坂本勇人も、田中将大も、帽子を取って頭を下げている。松井自身も帽子を取っていた。そのなかで、かぶったまま握手をした選手が2人、映っていた。

動画は約1990万回表示された

東洋経済オンラインによると、この投稿は11月2日の時点で約1990万回表示された。Yahoo!ニュースに転載された同じ記事には、1494件のコメントが付いていた。

声の多くは、怒っていた。「監督が帽子取ってるのにね」「シンプルにマナー違反」。スポーツ議論サイトのRONSPOは、「帽子を取って一礼するこれが礼儀よね。巨人軍は紳士のはず」「いち社会人として常識が欠如しているとしか思えない」といった投稿を並べている。

で、なぜ取らなかったのか。いちばん知りたいのは、そこだ。ところが、本人も球団も理由を説明していない。説明したという報道は、探しても見つからなかった。理由が分からないまま、礼儀知らずという話だけが広がった。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄とXでは、批判が目立つ。「礼儀がなっていない。周りが教えてあげないとね」「1番最初に坂本が帽子取ってるのに、それより若い選手で帽子をとってないやつは何を見てんだ」。「時代なんですかねぇ…」「できない若い子多いですよね」と、世代の話にする声も出ている。

一方で、擁護もある。「緊張し過ぎて忘れていたのでは」「1度帽子を取らないから責めるのはどうかと思う」。「中学や高校時代の野球部の方針にもよるんでしょうね」という見方もあった。そもそも松井が帽子を取って一人ずつ声をかける姿に泣けた、という声のほうが先に広がっていた。

「若者」と呼ばれた2人は、30代前半だった

ここで、話がひっくり返る。11月3日に東洋経済オンラインに載った記事(宮本文幸・桜美林大学教授)は、帽子を取らなかった2人がいずれも30代前半の選手だと書いている。プロ野球のキャリアで言えば、もう若手ではない。名前については、どの記事も確定していない。

野球場のダグアウト
写真はイメージ Photo by Jack Young on Unsplash

つまり「今の若い子は」と責めた人の多くは、相手が何歳かを知らずに責めていた。

宮本教授は、この論争が「世代」という枠の上に乗っていること自体を認知バイアスの問題として読んでいる。根拠に挙げているのが、2019年にアメリカの心理学者ジョン・プロツコらが科学誌サイエンス・アドバンシズに出した「Kids these days(今どきの子どもは)」という論文だ。礼儀に欠ける振る舞いを見ると、人は無意識にそれを若い世代と結びつけてしまう、という話である。

その研究で分かったことの一つが、これだ。権威を重んじる大人ほど、「今の子どもは年長者を敬わない」と答える。

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