その言葉、うちでは
使わないでください

――トランプ大統領が、政府の役所に

写真はイメージ Photo by Tomasz Zielonka on Unsplash

10/28 14:12 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

トランプ氏「AIと呼ぶ者は敵」 でも大統領令が届くのは役所の中だけ

アメリカのトランプ大統領が10月27日、「間もなく、全ての関連文書やあらゆる場面において、AI=人工知能という用語を公式に禁止することになる」と自分のSNSに書いた。代わりに使わせたいのは「SI(スーパーインテリジェンス、超知能)」。「人工という単語がフェイクのように聞こえる」からだという。「AIという用語を使う者はすべて敵だとみなしている」とも書いた。

命令そのものは、もう出ている。9月29日に署名した大統領令が、各省庁に、公式の文書やウェブサイトでSIを使うよう命じた。

届くのは、役所の中まで

ただ、大統領令の原文を読むと、対象は行政府の中の文書までだ。過去の規則や契約、助成金の書類も、書き直さなくていいと書いてある。27日に言った「あらゆる場面で禁止」を、どうやるのかは示されていない。実際、国際通貨基金(IMF)はロイターに、ホワイトハウスから頼まれても呼び方は変えないと答えている。

ネットの評判

日本のネットでは、あきれる声が目立つ。まとめサイトには「ずっと言葉遊びばかりやっとるな」「歴史に爪痕を残したくてたまらないんだな」。SNSでは「SIerはどうなるのか」という冗談も回った。会社のシステムをまとめて作るIT企業の呼び名と、字がぶつかるからだ。名前を変えても中身は変わらない、という見方が多いと伝えられている。

「無意味」では済まない人たち

決まりを守る仕事をしている人から見ると、話は少し違う。専門団体IAPPに載った弁護士の記事は、こう整理する。役所の文書はSIに、法律や州法、契約、社内の規程、取引先に出す質問票はAIのまま。同じものを、二つの言葉で管理することになる。無意味だから困るのではなく、意味が変わらないまま手間が増えるのだ。

机に積まれた契約書類とペン
写真はイメージ Photo by NORTHFOLK on Unsplash

10月のホワイトハウスの行事で、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは「我々はAIを進めたい。失礼、SIです。うまく言えるようになります」と言い直している。

大統領令は、科学技術担当の大統領補佐官に、60日以内に「超知能の連邦定義」を作る法案の文案を出すよう命じている。期限は11月28日。その文案が本当に出てくるのか、中身がどうなるのかは、まだ分からない。

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