通訳さん、もう呼ばなくて
いいんじゃない?

――ただし、90分で切れる

写真はイメージ Photo by Windows on Unsplash

10/28 18:05 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

Google Meetの音声翻訳が日本語対応 で、通訳の人はどうなるの?

英語の会議を日本語の音声で聞いて、日本語で話し返せる。Googleが2026年10月22日、Google Meetの音声翻訳を日本語を含む63言語に広げたと発表した。これまでは1つの会議で使える言語の組み合わせが1つだけだったが、これからは63言語のどの組み合わせでも混ぜられる。え、もう通訳いらないのでは?

動かしているのはGemini 3.5 Live TranslateというAIだ。会議中、Meetが話されている言語を自分で聞き分けて、参加者それぞれが選んだ言語の音声に変える。途中で話す人が言語を切り替えても、ついてくるという。話した人の口調や間合いをまねた音声が、元の声にかぶさる形で流れる。

90分で切れる。使えない場面もある

ただ、知っておくことがいくつかある。1つの会議で翻訳を使えるのは90分までだ。これはGoogle Workspaceの対象プランと、個人向けのGoogle AI Proの場合。Google AI UltraなどAIの上位プランだと8時間まで延びる。終日の研修や国際会議は、90分では足りない。

使えない場面もある。ライブ配信、録画、会社側が鍵を持つ暗号化をかけた会議、電話でのダイヤルイン参加、アダプティブオーディオ。会議室に置く機械は、翻訳された音声を聞くことはできるが、その部屋で話した言葉は翻訳されない。

対象のプランは、Business StandardとPlus、Enterprise StandardとPlus、Frontline Plus、Google AI ProとUltra、教育向けのGoogle AI Proなど。翻訳機能は、Rapid Releaseの設定なら10月22日から、Scheduled Releaseなら11月2日から最大15日かけて順番に届く。

で、いくらかかるのか。個人向けのGoogle AI Proは月2,900円。1日あたり100円くらいだ。

通訳の仕事は、もう減っている

喜んでいない人たちがいる。

ヘッドホンとマイクが置かれた机
写真はイメージ Photo by Will Francis – AI & Marketing on Unsplash

同時通訳者の山下えりかは、自分のサイトで「AIが通訳・翻訳業界に大打撃を与えていることはもはや否定できない事実です」と書いている。理由は「実際になくなっている仕事がある」からだという。山下は、イベント運営会社の経営者から聞いた話も載せている。昔は会場に「ブースを設置して、機械を入れて、通訳さんが入って」いたのが、「今はQRコードを読み取ってスマホで通訳を聞くのが多い」。会議室の後ろにあった通訳ブースが、参加者の手元のスマホに置き換わった、という話だ。

全部が置き換わるわけではない、とも書いている。山下によると、AIが苦手なのは感情の表現と、話すのが得意でない人への対応だ。言いたいことがうまく言葉にならない人から、本当に言いたかったことを引き出す。そこは人の仕事として残る、という見方だった。

では、専門的な場面なら安全なのか。そうとも限らないらしい。山下は、学会のように話が整理されていて意図を読み取りやすい場では、AIの精度は「人間より良いと評価できるほど」になっていると書いている。費用も準備の手間も少ないので、そういう場ではAIが先に選ばれる、とも。

ネットの評判

今回の発表そのものへのネットの声は、出典では確かめられなかった。ただ、AI通訳と仕事の話は、前からネットで議論になっている。

Yahoo!知恵袋には2026年5月8日、「AIの発展で通訳や翻訳の仕事は数年で無くなると思いますか?既にこれら仕事にしてる人はどうするのでしょうか。」という質問が出て、5件の回答が付いた。翻訳の経験者は「翻訳という仕事が全くなくなるとは考えられません」と答えている。契約書のような法律の文書は、人が十分に見て、少しでも間違いがあれば直す必要があるからだという。

別の回答者は、MTPEという働き方が出てきたと書いた。機密を守りたいので人に頼む、という客もいるという。海外の工場で通訳をしている人からは、人の出番は続く、という声も出ている。通訳は言葉を置き換えるだけでなく、現場の仕事そのものも分かっていないと務まらないからだ。

会議の主催者が対象プランを契約していれば、ゲストとして呼ばれた人も使える。63言語のどれでも、同じ会議で混ぜてかまわない。ただし、90分で切れる。通訳を呼ぶか呼ばないかの境目は、当面この90分あたりになるのではないかと思う。

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