人口は減ったのに、
市税は13年ぶりの高さ
――室蘭市の2025年度決算
写真はイメージ Photo by Michael SKOPAL on Unsplash
仏タレスが日本で迫撃砲生産へ 工場の町・室蘭の市税は13年ぶり140億円超
10月12日の日本経済新聞1面に、フランスの防衛大手タレスが日本に防衛装備品の保守拠点を設ける、という記事が載った。提携先の日本製鋼所に技術を移し、2027年から国内で迫撃砲を造る。これを読んだ元経済産業省官僚の古賀茂明氏は、AERA DIGITALのコラムで「もはや戦前ではなく『戦時』に近い」と書いた。
タレスは、フランス政府が株式の約3割を持つ会社だ。2025年の売上は約3兆9000億円、従業員は8万5000人。日本では1970年から事業をしていて、レーダーやソナーを自衛隊向けに出してきた。今年の夏、東京の日本法人に約20人の専門チームを置き、いま整備拠点の候補地を選んでいる。場所はまだ出ていない。まず海上自衛隊の装備から始め、そのあと陸上自衛隊と航空自衛隊へ広げるつもりだという。パトリス・カイン会長兼CEOは日経新聞に、この拠点が日本への長期的な関わりの節目になる、という趣旨を話した。
造るのは「2R2M」という120ミリの迫撃砲。車に載せて撃つタイプで、すでに陸・海・空の自衛隊に納入の実績がある。それを、これからは日本の工場でライセンス生産する。古賀氏が怖いと書いたのは、この「国内で造って、直して、撃ち続けられる」体制づくり、つまり継戦能力の強化そのものだ。
工場は、どこにあるのか
ここが、この話のいちばん地味で、いちばん大事なところ。日本製鋼所は1907年に北海道室蘭で生まれた会社で、いま防衛の仕事は3つの工場に広がっている。広島市安芸区の広島製作所では、火砲やミサイル発射筒の最終組立工場を増やす工事が進む。室蘭製作所では、フィンランドのパトリア社から技術を借りた装輪装甲車「AMV」を造っている。防衛省は26両で136億円を令和5年度の防衛関係費に計上した。名機製作所でも、増産に向けた準備が進んでいるという。
日本製鋼所は、2029年3月期までに防衛関連機器の売上を1000億円にする目標を掲げている。当初の計画から200億円の上積みだ。追い風は、2027年度までの5年間で43兆円程度を使う防衛力整備計画と、2026年4月に消えた5類型である。
人口は減ったのに、市税は13年ぶりに140億円を超えた
では、工場のある町はどうなっているのか。室蘭市の2025年度決算は、市税収入が前年度比6.6%増の140億2000万円。140億円を超えたのは13年ぶりだ。個人市民税は14.1%増の40億1500万円。市民1人が納めた額は平均11万4409円で、前の年より5829円増えた。
一方で、室蘭の人口は9万人台まで減っている。北海道新聞によると、増収の理由は大企業を中心とした賃上げと物価高。その大企業として記事が名前を挙げているのは2社で、日本製鉄の北日本製鉄所室蘭地区と、日本製鋼所室蘭製作所だ。
「戦時に近い」という言葉と、「13年ぶりの140億円」という数字。同じ国の、同じ年の話である。工場のある町では、この話は戦争の話として届く前に、仕事と給料の話として届く。そこが、平和を心配する声とかみ合わない。
ネットの評判
古賀氏のコラムは、はてなブックマークの「人気・政治と経済」で上位に入り、118人がブックマーク、50件のコメントが付いた。声は割れている。中国の動きを考えれば防衛力の話は筋が通っている、という書き込み。西側の生産能力が足りないのだからアジアで造るのは当然だ、という見方。逆に、日本が戦場になる前提で備えても犠牲は減らない、という指摘。食料や資源を外に頼ったままで継戦能力と言うのはおかしい、という声もある。
ニュースをまとめた5ちゃんねるのスレッドでは、歓迎の書き込みが目立つ。「これは普通に朗報だろ 国内で整備も生産もできる方向に進むのはありがたい」「技術移管まであるのがいいね ただ買うだけとは全然違う」。心配は、相手がフランスであることに向かっていた。「フランスは信用ならん筆頭格だから、大丈夫かな?」という書き込みもあった。
室蘭市民1人が納めた市民税は、1年で5829円増えた。月にすると486円。その賃上げをした大企業2社のうち1社が、フランスから迫撃砲の技術を受け取る日本製鋼所だ。
VIVANTの廃工場に、日本語の安全看板
TBS系『VIVANT』第21話/週刊女性PRIMEの報道
43万円の新型冷蔵庫、錆びて見える
Xで話題のアクア「AQR-DUX51B」
飲みたい!!!!!!!
――=LOVE公式Xの返信欄に
- もはや戦前ではなく「戦時」に近い…フランスの大手武器メーカーが日本を輸出拠点に! 高市政権の「継戦能力強化」の本当の怖ろしさ 古賀茂明(AERA DIGITAL/Yahoo!ニュース)
- 仏タレスが日本に防衛品保守拠点 迫撃砲を生産、継戦能力強化に好機(日本経済新聞)
- 2027年から迫撃砲を国内生産 仏防衛大手タレスが「日本に整備拠点を設ける」ワケ(政経フォーカス)
- Thales to open what could be Japan's first foreign-run defence maintenance base(Euronews)
- 日本製鋼所、広島製作所に防衛関連機器の新工場棟 火砲やミサイル発射筒の生産拡大(中国新聞)
- 日本製鋼所/防衛関連機器の生産強化/広島の最終組立工場増設など(日刊産業新聞)
- 日本製鋼所 防衛関連売上高1000億円へ 原子力製品を増強(日刊産業新聞/Yahoo!ニュース)
- 室蘭市税収入、13年ぶり140億円超え 人口減なのに…賃上げや物価高影響(北海道新聞)
- 日本製鋼所が装輪装甲車受注 防衛省向け、26両生産へ(三井物産ニュース)
- 政府「武器」輸出解禁、非戦闘目的「5類型」の制約を撤廃(ビジネス+IT)
- 【防衛】フランス大手タレス、日本国内で迫撃砲生産へ 2027年から日本製鋼所に技術移管(5ちゃんねるまとめ・おーるじゃんる)
- はてなブックマーク(古賀茂明コラムのエントリー)