ベッドまで揺れて
眠れないんだけど
――ある住民が、隣にできたデータセンターを指して
写真はイメージ 撮影 NASA/Public domain(ウィキメディア・コモンズ)
イギリスでデータセンター反対が広がる 首相は「今は止めない」と答えた
イギリスのスラウという町には、データセンターが40か所ある。世界で2番目に大きい集まりだ。そこに住む女性(記事では仮名)の家の外で音を測ったら、平均62.8デシベル、ピークで66.8デシベルだった。WHOは「寝室を守るなら40デシベル未満」としている。これで眠れるだろうか。
AIの新機能のニュースはにぎやかだ。その計算をしている建物の隣では、まったく別の話が起きている。
夜中も止まらない音と、三重窓という答え
スラウは約34平方キロに16万人が住む町で、そこにヨーロッパ最大のデータセンター群ができた。
取材を受けた女性は「部屋ぜんぶ、ベッドまで揺れているのに、どうやって眠るのか」と話した(訳)。「1年で暮らしの質がこわれた」とも言う。
では、市はどう答えたのか。示したのは、エアコン、三重のガラス窓、防振の装置、または引っ越しだった。音を止めるのではなく、住む側が窓を替える話になっている。9月24日には、無所属のチャンドラ・ムヴァラ議員が市議会に動議を出した。データセンターが集まった地域への影響を、まとめて調べるよう政府に求めるものだ。地元の反対グループができたのは7月だ。
首相は「今は止めない」と答えた
9月、ブライス・アンド・アシントン選挙区のイアン・ラベリー議員が、新しいAI向けデータセンターの許可をいったん全部止めるモラトリアムを求めた。議会に出した動議には24人が署名した。地元のスリークバーンとキャンボイズの周りに、3つの巨大な施設の計画があるという。
ところが同じ議員は2025年10月、ブラックストーン傘下のQTSが進める100億ポンドの計画を「great news」と歓迎していた。自分の選挙区がAI成長特区に入ったことも喜んでいた。歓迎した人が、1年で止めろと言い出したのだ。
アンディ・バーナム首相の答えは短い。「現時点では、モラトリアムまではやらない」。国の方針づくりも遅れている。政府は2025年11月、3か月以内にデータセンターの国家政策声明の案について意見を聞くと約束した。10月23日の時点で、まだ出ていない。カニシュカ・ナラヤンAI担当相の答えは「そのうち」だった。
推す側の数字もある。北東部のAI成長特区には、300億ポンドの民間投資と5,000人の雇用が結び付けられている。マイクロソフトはリーズの計画について「95%以上の時間は空気で冷やす」と説明し、使う電気は全部、再生可能エネルギーで埋め合わせるとしている。
日本でも、駅前の52.7メートルが裁判になっている
遠い国の話ではない。千葉県印西市では2026年3月5日、千葉ニュータウン中央駅前のデータセンター計画をめぐり、近くに住む10人が建築確認の取り消しを求めて千葉地裁に訴えた。地上6階、高さ52.7メートル、延べ床面積は約3万平方メートルの計画だ。
争いの中心は、用途の分類だ。事業者は「その他(データセンター)」とし、住民側は「工場もしくは倉庫にあたる施設」だと言う。駅の周りの地区計画は、工場と倉庫を建てられない決まりになっている。
そもそも建築基準法に、データセンターの規定がない。だから「事務所」などとして扱われ、工場や倉庫より緩い決まりで、住宅街の近くにも建てられる。原告の谷川宗和さん(53)は「駅前でDC建設が認められれば『あしき前例』となり、どのような場所でもDC建設ができてしまう可能性がある」と話す。隣の白井市富ケ谷でも、同じような裁判が続いている。東京都は3月、都道府県として初めて、事業者に住民との早い対話を求める指針をつくった。
ネットの評判
イギリスでいちばん形になった声は、署名だ。マイクロソフトがリーズのスケルトン・グランジに計画する施設には、4万2,000人以上が反対の署名をした。理由として多いのは、電気と水を使う量だという。9月12日にはリーズの広場に約250人が集まり、参加したケイト・ピアソンさんは「これほど環境を壊すような巨大なデータセンターが必要だとは思わない」と話した(訳)。Instagramでは、ロンドンのブリック・レーンやデヴォン、スラウの地元グループがそれぞれ発信している。11月6日と7日には、10か国の42団体がそろって行動すると言っている。一方で、投資と雇用を歓迎する声も残っていて、意見は割れたままだ。
最後にもう一つ。エセックス州ラウトンで進んでいた「イギリス最大のAIデータセンター」から、マイクロソフトが10月18日に手を引いた。理由は住民の反対ではなく、送電網から十分な電気を引けないことだった。
人口は減ったのに、
市税は13年ぶりの高さ
――室蘭市の2025年度決算
VIVANTの廃工場に、日本語の安全看板
TBS系『VIVANT』第21話/週刊女性PRIMEの報道
賞をくれなかったから、
もう来なくていい
――トランプ米大統領が、ノルウェーに
- Sleepless in Slough: the residents who fear for their failing health in Europe's data centre capital(The Nerve, 2026-09-29)
- Burnham rejects proposals for data centre moratorium(Data Centre Review, 2026-09-14)
- Government misses deadline for data centre planning consultation(Data Centre Review, 2026-10)
- Who Is Fighting Data Centres in the UK?(MRKT3.0)
- Uncertainty over UK's largest AI data centre plan after Microsoft withdrawal(New Civil Engineer, 2026-10-22)
- Hundreds of campaigners protest against Microsoft data centre(South Leeds Life)
- Protesters Fight Microsoft's Huge Leeds Data Centre(Silicon UK)
- Data centre opposition grows across UK(Global Action Plan)
- Communities and campaign groups plan Europe-wide action to stop "dirty" data centres(APRS, 2026-10-02)
- 「迷惑施設」なのに「無法状態」…データセンター立地問題、次々と法廷闘争に(東京新聞デジタル)
- データセンター建設、住民と摩擦も 地方分散へ合意形成が課題(時事通信, 2026-07-22)
- Opposition to AI data centers(Wikipedia)