間違いなく、
やり甲斐が減った

――エンジニアのマーク・バックスが、AIについて

写真はイメージ Photo by Christopher Gower on Unsplash

11/6 13:29 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

AIコーディングで燃え尽き? 3万人調査、満足しているエンジニアは22%

Stack Overflowが10月6日に公表した2026年の開発者調査で、いま仕事に満足しているエンジニアは22%だった。不満が33%、「どちらとも言えない」が45%。169か国の3万903人に、103の質問をした結果だ。

その「どちらとも言えない」45%に理由を聞くと、いちばん多かったのが「燃え尽き・テクノロジー疲れ」で21%。AIでコードが速く書けるようになった、と言われ続けた年の数字がこれだ。速くなったのに、なんで?

AIは使っている。ただ、任せてはいない

同じ調査で、コーディングエージェントやコーディングアシスタントを使っている人は66%。ChatGPTのような汎用のAIチャットは63%。AIのコーディングツールを使う人の73%は、毎日使っている。毎日使う人のうち31%は、1日4時間以上AIに向き合っていた。

夜のオフィスの机とキーボード
写真はイメージ Photo by Christian Lue on Unsplash

1日4時間を週5日で、週20時間。就業時間のだいたい半分だ。

ところが、信頼のほうは話が別だった。「簡単に検証できるなら信頼する」が約半数。重要な意思決定をAIの出力に委ねると答えた人は、6.6%しかいない。情報源をはっきり示してほしいと答えた人は78.7%。使う時間は増えたのに、任せる気はない。

もちろん、嫌がっているわけでもない。職場のAIを少なくともやや肯定的に見ている人は62%で、毎日使う人だと71%に上がる。これから学びたいことにAIを挙げた人は79%いた。

日本でも、使う人ほど不安になっている

これはアメリカ発の調査だが、日本の数字も出ている。株式会社スーパーソフトウエア東京オフィスが8月17日から19日に、27歳から59歳のITエンジニア1,265人に聞いた調査だ。

設問はこうだった。「生成AIの普及を踏まえ、コードを書く力以外の能力を身につけなければ、今後のキャリアが不安だと感じますか」

不安だと答えたのは、全体で59.6%。ここが効いている。AIをほぼ毎日使う人は85.6%が不安で、AIを使っていない人は14.9%。差は70.7ポイントあった。使えば使うほど、不安が増えている。

これから大事になる力として挙がったのは、「AIに適切な指示を出す力」が34.8%、「AI出力を見極める力」が29.2%。「コードを書く力」は15.0%だった。

「AIのせい」と言い切れるのか

Stack Overflowの調査には、反論も出ている。開発者が技術記事を投稿する海外のサイトDEV Communityで、Rohit Bhadaniはこう書いた。仕事の摩擦の原因を全体で聞いた項目で最多だったのは「優先順位が曖昧」の16.6%で、AIはその分析に名前さえ出てこない。燃え尽きをAIに結びつけるのは単純化しすぎだ、というわけだ。

経営の側の言い方はまた違う。Stack OverflowのCEOプラシャント・チャンドラセカールは「開発者に関して言えば、信頼は当たり前に与えられるものではない」と話した。疲れではなく、信頼の作り方の話として読んでいる。

現場寄りの見方もある。オープンソースのDatasetteを作ったサイモン・ウィリソンは、コーディングエージェントを巧みに使いこなすには高度なスキルが要ると指摘した。AIが来て楽になったのではなく、覚えることが1つ増えたという話だ。

サンフランシスコ・ベイエリアの心理療法士でエグゼクティブコーチのアニー・ライトは、クライアントの言葉としてこう紹介している。「疲れ果てた。信じられないほど燃え尽きた。自分の仕事が自動化されたら、自分が何者なのか分からなくなってしまう」

なお11月5日の時点で、Stack Overflowからこの調査についての追加の発表は見つからなかった。

ネットの評判

この調査を伝えた記事は、はてなブックマークで269人がブックマークし、97件のコメントが付いた。賛否はきれいに割れている。

手作業の工房に並ぶ器
写真はイメージ Photo by Andy Kelly on Unsplash

やる気が落ちた側では、「本当に仕事やる気なくしてる」という声。「素人が思い付きで作った極小規模システムや、誰に売るのかわからない謎サービスが社内で次々に作られて」働く気がなくなってきた、という投稿もあった。

逆に、楽になったという声もある。「非本質的な作業から開放されて(原文ママ)、アイデアが一瞬で形になって、何でも自分で作れるようになって最高」。モックアップがすぐできるので以前より楽しくなった、という人もいた。

いちばん落ち着いていたのは、この一言だった。「食器やグラスがオートメーションで大量生産できるようになった時の職人たちも同じようなこと思ったのかな」

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