のどかな場所なんだから、
もう勘弁してほしい

――ある住民が、週末の重低音に

写真はイメージ Photo by James Coleman on Unsplash

11/5 12:25 / 発信国:日本 / 記者:工藤

GMO熊谷正寿代表に近隣住民が「もう勘弁してほしい」 ヘリの爆音と週末の重低音

11月2日、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表(63)が記者会見を開いた。傘下のGMOインターネットが出すお名前.comデスクトップクラウドに不正アクセスがあり、影響を受けた可能性のあるサーバーは26,739台。攻撃した側は約80億円の身代金を要求し、GMOは払わないと決めた。熊谷代表は涙ぐみながら「お客様をお守りすることができず、誠に申し訳ございませんでした」と話した。

会見から2日後の11月4日、デイリー新潮が別の方向から記事を出した。謝られていない人たちがいる、という話だ。

ヘリは東京から20分、着く先は相模湾のそば

舞台は神奈川県横須賀市佐島。相模湾を望む白い3階建てを、デイリー新潮はGMOが持つ迎賓館「GMOマリーナ&スパ佐島」と書いている。吹き抜けのリビングに屋外プール、船を着けられる桟橋まで付いているという。

船が並ぶマリーナの桟橋(イメージ)
写真はイメージ Photo by Zooey Li on Unsplash

デイリー新潮の取材に、近くの住民はこう話した。「熊谷さんのヘリは2~3年前までは本当に頻繁にやって来ていた」。夏休みの時期には、週に何度も来たという。音は「ガボガボガボ」という轟音で、重油のような臭いもしたそうだ。超低空で屋根をかすめていく。在宅で仕事をしていた妻が、その音でノイローゼ気味になった――それが、この住民の訴えだ。

別の住民の話は、ヘリではなく音楽のことだった。月に1回ほど、週末の日中に、施設からクラブミュージックのような重低音が響く。歌手を呼んで生演奏をすることもあるらしい。「のどかな場所なんだから、もう勘弁してほしい」

ヘリが飛んでいたこと自体は、熊谷代表が自分で書き残している。2019年7月29日、公式サイトに、客へのあいさつで佐島のGMOマリーナ&スパへ行ったと記している。移動はヘリで、時速約300キロ、東京から20分。デイリー新潮は、熊谷代表がヘリ「SKY KUMARKII」(推定10億〜13億円)やプライベートジェット「SKY KUMARKIII」(推定107億〜117億円)を持っていると書いている。

立場が三つ、ぶつかっている

一つ目は、不正アクセスでお金を失った人たち。GMOは10月24日、このサービスを使っている全員に一律5,000円の見舞金を払い、本人の意思でない取引で出た損失は全額補償すると発表した。FXの口座を勝手に動かされた人もいる。

二つ目は、佐島の住民。見舞金も補償もない。ヘリの音も週末の重低音も、会見の議題には入っていなかった。

三つ目は、GMOと熊谷代表の側だ。会見では、2024年にセキュリティの専門家からシステムの問題を指摘されながら「サービスの運営に活かすことができなかった」と認め、再発防止策を説明した。一方、住民が言う迷惑について、GMO側の説明はデイリー新潮の記事にも載っていない。11月4日午後の時点で、この件に答えたGMOの発表は見つからなかった。

では、ヘリの飛び方そのものはどうなのか。航空法では、空港やヘリポート以外の場所に離着陸するには国土交通大臣の許可が要る(第79条)。最低安全高度も決められている。佐島の飛行がこれを守っていたかどうかは、出典では確かめられなかった。

ネットの評判

会見のあとXで広がったのは、「命の砂時計」という熊谷代表の言葉だった。ITmediaによると、「命の砂時計何回言うねん」「命の砂時計ワロタ」といった投稿が相次ぎ、11月2日午後6時半にはこの言葉がトレンドに入った。「趣旨がよく分からなかった」との声も多かったという。擁護する声は、出典では確かめられなかった。迷惑行為を伝えたデイリー新潮の記事のほうは、Yahoo!ニュースのコメントランキングで3位に入っている。

5,000円の見舞金は、お名前.comデスクトップクラウドを使っている人に払われる。佐島に住んでいる人は、そこに入っていない。

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