その言葉、うちの会社で
誰も言ってない
――閲覧数の差は、1位と最下位で25万回以上
写真はイメージ Photo by Nicolas HIPPERT on Unsplash
2026年新語・流行語大賞 候補30語を「閲覧数」で比較してみた
2026年の「新語・流行語大賞」の候補30語が、11月5日に発表されました。主催は自由国民社で、正式名称は『現代用語の基礎知識』選「2026 T&D保険グループ 新語・流行語大賞」です。公式サイトによると、トップテンと年間大賞は12月初めに発表されます。11月6日午前の時点では、まだ発表されていません。
筆者は、この30語が実際にどれだけ調べられているのかを数字で確かめてみました。使ったのは、ウィキメディア財団が公開している日本語版ウィキペディアの閲覧数です。候補の発表前にあたる2026年10月の1か月分を、語ごとに並べています。
ウィキペディアの閲覧数で、30語を並べてみた
いちばん多かったのは「モナキ」で、250,897回でした。次が「ドパガキ」の51,111回、「キオクシア」の27,324回、「ピックルボール」の23,896回、「フレネミー」の12,375回、「りくりゅう」の10,784回と続きます。
中ほどは、「データセンター」が6,492回、「夜の踊り子」が4,447回、「ちいかわ」が4,133回、「ナフサ」が2,201回、「ボンボンドロップシール」が1,262回でした。
少ないほうは、「フィジカルAI」が516回、「酷暑日」が107回、「青切符」が70回、「スマホ農場」が35回、そして「言語化」は1回です。1位と最下位の差は、25万回以上になりました。
数字がまったく取れなかった語もあります。「AI暴走」「NISA貧乏」「だけ弁当」「ホビ垢」「警戒レベル5」「声の権利」「setlog」の7語は、日本語版ウィキペディアに同じ名前の項目がなく、閲覧数のデータそのものが返ってきませんでした。
残る7語は今回比べていません。「スクイーズ」と「パンチくん」は、同名の別項目に当たってしまうからです。「あかり、信じてるからな」「なんとかなれーッ」「好きすぎて滅!」「消費税1%」「ギルティ」は、文や一般的な語なので、項目として数えられません。
「知らない言葉」のほうが、よく調べられていた
閲覧数は「使った人の数」ではなく、「調べた人の数」です。
ですから、よく知られている言葉は数字が小さくなります。「酷暑日」が107回、「言語化」が1回なのは、わざわざ調べる必要がないからだと考えられます。逆に1位の「モナキ」と2位の「ドパガキ」は、「聞いたことがない」と言われやすい側の言葉です。
「モナキ」は、純烈の酒井一圭さんがプロデュースする4人組グループで、2026年4月8日に「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」でメジャーデビューしました。「ドパガキ」は「ドーパミン中毒のガキ」の略です。短時間で刺激を得るコンテンツに慣れて集中が続かない人を指すネット上の言い方だと、モデルプレスは説明しています。
つまり閲覧数の多さは、「流行っている証拠」でもあり、「まだ知らない人が多い証拠」でもあります。この数字だけで、流行の有無は決められません。
読者17,978人の投票でも、7語が重なっていた
では「作られた流行語」なのかというと、別の数字が出てきます。
モデルプレスを運営する株式会社ネットネイティブは、2026年6月18日に「モデルプレス流行語大賞2026上半期」の20語を発表しました。読者アンケート(2026年4月27日〜5月17日、回答17,978件)と編集部の審査で選んだものです。
その20語には「モナキ」「フレネミー」「ボンドロ」「夜の踊り子ミーム」「りくりゅう」「ナフサ不足」「〇〇で滅」が入っています。新語・流行語大賞の候補30語と、言い回しの違いを含めて7語が重なります。半年前に、読者の投票でも選ばれていた言葉だということです。
選ぶ側の基準は「使われた」ではない
選考する側の言い分も読んでおきます。公式サイトは、この賞の趣旨を「1年の間に発生したさまざまな『ことば』のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶ」と書いています。
基準は「みんなが使った」ではなく、「目・口・耳をにぎわせた」です。耳に入っただけでも条件に入る書き方になっています。選考委員は、辛酸なめ子さん、パトリック・ハーランさん、室井滋さん、やくみつるさん、大塚陽子さんの5名です。
まとめ
同じ物差しで並べると、250,897回と1回が一つの一覧に同居しています。これを「ばらつきが大きすぎる」と読むか、「知られ方の段階が違うだけ」と読むかで、評価は分かれそうです。
閲覧数は流行の証明にはなりませんが、どの言葉がいま調べられているかは分かります。トップテンの発表までに、気になった語の数字を自分で見てみるのも、一つの読み方だと思います。
出典
「現代用語の基礎知識」選 T&D保険グループ 新語・流行語大賞(公式サイト)/ウィキメディア財団 Pageviews API(日本語版ウィキペディアの閲覧数)/【モデルプレス流行語大賞2026上半期】全20語を発表(株式会社ネットネイティブのプレスリリース)/「新語・流行語大賞2026」ノミネート語30発表(モデルプレス)/2026年 新語・流行語大賞の候補 30のことばは?(NHK)
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