薬をもらったら、
子どもに怒鳴らなくなった
――ある親が、SNSに
写真はイメージ Photo by engin akyurt on Unsplash
抑肝散の効果は本当? 市販3製品の値段と成分を比較してみた
「子どもに怒鳴ってしまう」という悩みに精神科の薬が効いた、という投稿が11月上旬にSNSで広まりました。まとめサイト「Posfie」に並んだ一連の投稿には、「漢方薬の抑肝散が良いですよ」「喜怒哀楽の怒だけが弱まります」という返信も付いています。はてなブックマークでは172人がブックマークし、コメントは53件。この抑肝散、薬局で買うと1日あたり197円から660円でした。筆者は公式サイトの数字を並べて、3製品を比べてみました。
抑肝散とは、どんな薬なのか
ツムラの公式サイトによると、ツムラ漢方抑肝散エキス顆粒の効能・効果は「体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害」です。
成人(15歳以上)は1回1包を1日2回、食前に飲みます。生薬はソウジュツ、ブクリョウ、センキュウ、チョウトウコウ、トウキ、サイコ、カンゾウの7種類で、生後3ヵ月以上から飲めると書かれています。
筆者が気になったのは、「怒だけが弱まる」という説明です。公式の効能・効果に、そういう文はありません。「怒りやすい、イライラなどがあるもの」は、どんな人に向くかの目安で、使う対象は神経症や不眠症、歯ぎしりなどです。
市販の抑肝散を3つ、数字で比べてみました
ツムラ漢方抑肝散エキス顆粒は、20包(10日分)が本体2,400円、48包(24日分)が本体4,300円。消費税10%を足すと2,640円と4,730円で、1日あたりは264円と約197円。大きい箱のほうが1日67円ほど安い計算です。
クラシエの抑肝散加陳皮半夏エキス錠は、84錠(12錠×7日分)が税込1,760円。1日あたり約251円です。抑肝散加陳皮半夏なので生薬は9種類あり、公式サイトは効能の冒頭に「やや消化器が弱く」と書き、胃腸が弱い人向けであることを示しています。
全薬工業のアロパノールメディカル錠は、18錠が税込1,320円、36錠が税込2,200円。15歳以上は1回3錠を1日3回なので、18錠は2日分、36錠は4日分。1日あたりは660円と550円で、3つの中では一番高くなります。成分は9錠中に「抑肝散エキス(1/2量)」1,700mgと書かれていますが、これはほかの2つのエキス量と単純に比べられる数字ではありません。
値段より差が出ると筆者が思ったのは、年齢です。ツムラは生後3ヵ月以上から。クラシエとアロパノールには、5歳未満は服用しないことと書かれています。子どもの癇癪に使いたくて買うなら、ここを見ないと買い直しになります。
もう一つ、病院で出してもらう道もあります。医療用のツムラ抑肝散エキス顆粒の薬価は1gあたり16.1円で、成人は1日7.5g。1日分の薬価は約121円、健康保険の3割負担なら約36円です(診察料は別)。市販品の264円と比べると、通院の手間と引き換えに薬代は7分の1ほどになります。
飲めば怒りが消えるのか、調べてみました
内科クリニックの医師による解説記事では、「2週間〜1ヶ月程度、毎日きちんと飲み続けることで」効果を感じられると説明されています。高ぶった神経を鎮める薬で、性格そのものを変える薬ではない、という書き方です。
副作用もあります。生薬のカンゾウ(甘草)を長期・大量に飲むと、まれに偽アルドステロン症が起こることがあります。医療用の添付文書には、重大な副作用として偽アルドステロン症(頻度不明)のほか、間質性肺炎、心不全、ミオパチー、横紋筋融解症、肝機能障害が並びます。
ツムラの市販品の案内にも、1ヵ月ほど飲んでも症状が良くならない場合は中止して相談、とあります。医師の治療を受けている人、妊婦、胃腸の弱い人、薬で発疹が出たことのある人は、買う前に相談することになっています。
ネットの評判
はてなブックマークのコメント欄は、賛成派と慎重派で割れました。
賛成派では、「怒鳴ってばかりなのは親も子供もしんどい。病院に行くのはいい判断」という声、医療に関わる立場からの「受診される方は珍しくない。抑肝散そこそこ奏功する」という書き込み、「QOLが一気に上がる」という声が目立ちます。
一方で、「怒りの原因は取り除かれない。薬が切れたら…」と、薬では環境が変わらないと指摘する声。「プラセボ処方では」「初手から漢方出てくるなら診断ついてない」と、処方のされ方自体を疑う声。「クスリ漬けで叶う育児か」「子どもの癇癪なんてあって当然では?」と、薬で子育てを乗り切る発想に抵抗を示す声もありました。
なお、元の投稿者は飲んだ薬の名前を明かさず、「不安やうつ状態を緩和する薬を2種類」と書いています。広まった体験談そのものは、漢方の話ではありません。
まとめ
抑肝散は、神経症や不眠症、小児夜泣き、歯ぎしりに使う薬として売られていて、1日あたり197〜660円。効果を感じるまでの目安は2週間から1ヵ月で、「怒だけが弱まる」という説明は公式の効能書きには見当たりませんでした。11月5日の時点で、3社の公式サイトの製品ページに、今回の話題に触れた記載はありません。
買う前に一つだけ見るとすれば、年齢の欄だと思います。同じ「抑肝散」でも、生後3ヵ月から飲めるものと、5歳未満は飲めないものがあります。
出典
ツムラ公式サイト「ツムラ漢方抑肝散エキス顆粒」/クラシエ漢方オンラインショップ「抑肝散加陳皮半夏エキス錠」/全薬工業公式サイト「アロパノールメディカル錠」/日経メディカル処方薬事典「ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)」/うちからクリニック「【漢方】抑肝散の効果・副作用を医師が解説」/Posfie のまとめ/はてなブックマークのコメント欄
のどかな場所なんだから、
もう勘弁してほしい
――ある住民が、週末の重低音に
港の32キロの砲弾を『ワインの瓶』と説明
在パプアニューギニア中国大使館の投稿
全国大会に20回以上出た高校生、ドームで賛否?!
Snow Man札幌公演の演出をめぐるファンの声