安いのに、いつ行っても
空いてた

――はてなブックマークに寄せられた声

写真はイメージ Photo by Zion C on Unsplash

11/6 12:23 / 発信国:日本 / 記者:工藤

「鰻の成瀬」はなぜ400→160店に? うな重の値段を計算してみた

「鰻の成瀬」の国内店舗数が、2025年6月の390店超から、2026年10月には約160店まで減りました。ITmedia ビジネスオンラインが11月5日に伝えた数字です。

同じ期間に、いちばん安いうな重は1,600円から1,900円へ上がっています。今回は、公表されている数字だけを並べて計算してみました。

400店の寸前から、160店へ

日経クロストレンドによると、出店は2022年9月の1号店から、2024年11月に300店、2025年6月に390店超まで進みました。2026年3月末には約270店。累計で400店超が開き、3割以上が閉じた計算になります。

その後も減り、7月1日の時点で235店(日本食糧新聞)、10月には約160店。「成長神話は終わった」と読む記事が多いのは、この落差からです。

一方、本部の側では別のことが進んでいました。2026年3月31日、東証スタンダード上場のAIフュージョンキャピタルグループが、運営元のフランチャイズビジネスインキュベーション(滋賀県高島市)の株式58.0%を5,805万8,000円で取得すると開示しました。4月10日には子会社化しています。

同じ開示資料によると、運営元の2025年8月期は売上高20億8,225万円、営業利益5,467万円、当期純損失3,941万円。資料には「店舗収益性の向上(営業利益率15%水準を志向)」とあります。出店の速さより1店あたりの利益を見る方針に変わったことが、資料から読み取れます。

7月1日には「第二章」と銘打った記者発表があり、元プロ野球選手の斎藤佑樹氏がCOO(チーフ・おもてなし・オフィサー)に就任しました。山本昌弘社長は「品質をさらに追求し、お客様へのおもてなし、加盟店との共存共栄」を挙げています。発表はその後も続いており、直近は10月31日、首都圏10拠点でのデリバリー開始(出前館は10月26日、Uber Eatsは11月1日)でした。

うな重の値段を計算してみた

価格表も変わっています。2024年8月10日の発表では、うなぎの等級が並・上・特上の3段あり、並は梅1,600円・竹2,200円・松2,600円(すべて税込)でした。

2026年7月1日のリニューアルで「並」がなくなり、「上」が基本になりました(日本食糧新聞)。いまの公式メニューは、梅1,900円・竹2,500円・松2,900円の3つだけです。

つまり、いちばん安いうな重は1,600円から1,900円へ。300円、率にして18.75%上がったことになります。

量も当てはめてみます。2024年の発表には、梅が半尾、竹が4分の3尾、松が1尾と書かれていました(いまの公式サイトに尾数の表記はありません)。この量で1尾あたりに直すと、梅3,800円、竹約3,333円、松2,900円。安いメニューほど、うなぎ1尾あたりでは高くつきます。筆者なら松を選びます。

他社の数字も並べます。ITmediaの記事に出てくる東京・根津の専門店は、うな重「並」が2,400円。横浜の「万福屋」は90分の食べ放題が大人4,378円で、うなぎは1皿に半身か1尾、平均3皿が出たとされています。半身3皿なら1.5尾分、松の1尾2,900円で計算して4,350円。食べ放題とほぼ並びます。ゼッテリアの「うな丼バーガー」は990円でした。成瀬の新業態「二代目ひつまぶしの成瀬」は、上ひつまぶしが2,690円です(ハフポスト日本版)。

加盟店の立場では、話は値段だけで終わりません。ロイヤリティは固定10万円+売上の4%だと、ビジネスメディアのcokiが報じています。仕入れが上がっても値段に全部は乗せられない店が、その差を自分でかぶる形になります。閉店は看板の失敗ではなく、1店ごとの損益の結果という見方もできる、と筆者は思いました。

ネットの評判

このITmediaの記事は、はてなブックマークで51人が登録し、28件のコメントが付いていました(11月5日時点)。

多いのは、失速を当然と見る声です。「いわゆる四百店舗の壁だろう」と書いた人や、ティラミスやタピオカなど過ぎ去った流行を並べて「次は鰻の成瀬かな?」と続けた人がいました。「成瀬は(鰻としては)お手頃価格なのに、どの店行っても空いてる事が多いんだよね」という利用者の声もありました。

一方で、少数派の見方も出ています。「とにかくここ10年くらいのチェーン店を腐せば通ぶれるみたいな風潮が恥ずかしいってことそろそろ気づいてほしい」という投稿や、2020年に設立された会社が2026年に160店舗なのだから十分な成長だ、という受け止めもありました。

まとめ

数字を並べてみると、「安いうな重」の看板は、思ったほど安くない位置まで動いていました。筆者がいちばん気になったのは、梅と松で1尾あたり900円も差がつくことです。

残った約160店が、1店あたりの利益を取り戻せるのか。次の土用の丑の日に、値段がどこへ置かれるかが見どころだと思います。

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