警察署長が、酒屋の前で27時間寝ていた

米マサチューセッツ州 車は一度も動いていなかった

11/3 19:21 / 発信国:アメリカ / 記者:宮村

「ひどく酔っていた」署長、酒屋の前で27時間 逮捕はされなかった

アメリカ・マサチューセッツ州シュルーズベリーの酒屋の駐車場に、灰色のフォードが27時間以上止まっていた。中で寝ていたのは、隣町ウェストボローの警察署長トッド・ミナルディ氏だった。1994年から同じ警察で働き、2023年から署長を務めている人だ。助手席にはウォッカの瓶が2本。1本は空、もう1本はふたがなかった。冗談のような話だが、警察の報告書に書かれている事実である。

気づいたのは、通りかかった人だった。車が夜通し止まったままだと思い、金曜の昼12時15分に911へ通報した。通報を受けたのは、署長の勤め先ではない、隣町のシュルーズベリー警察。安否確認の通報として扱われた。

報告書には、駆けつけた警官が見たものが並ぶ。目は「赤く、血走り、どろんとしていた」、話し方は「遅く、もつれていた」(訳)。酒のにおいが強い。簡単な計算を聞かれて、答えを間違えた。別の警官は、現場に来た警部にこう伝えた。「ウェストボローの警察署長で、ひどく酔っている」(訳)。ミナルディ氏は「休暇中だ」と答え、体調が悪かったとも話した。

なぜ、そんなことに。妻は救急隊に、夫が2日間いなくなっていて、何も食べずウォッカだけを飲んでいた、と話した。防犯カメラには、水曜の朝8時すぎに酒とくじを買う姿、木曜の朝9時すぎにまたウォッカを1本買う姿が残っていた。ここまでになった事情は、町の調査が終わっておらず、まだ分かっていない。

逮捕されなかった理由

「警察だから見逃されたのだろう」と思いたくなる。だが、報告書を読むと、話はもう少しややこしい。防犯カメラで、車が一度も動いていないことが確かめられている。鍵は、カップホルダーと中央のコンソールの間に挟まっていた。つまり、飲酒運転の現場ではない。切られたのは、開いた酒の容器を車内に置いた違反の切符1枚、505ドル(約8万円)だ。刑事事件としての起訴はない。病院へは、最初は行くのを断り、最後は検査を受けることに同意して運ばれた。

そして、いちばん意外な一点。ウェストボロー警察には、危機にある人を刑事司法の外に出すための仕組みがある。町の公式ページによると、臨床の専門家がパトカーに同乗して危機の通報に直接向かい、その場で見立てをして、必要な治療や支援につなぐ。その警察のトップが、ミナルディ氏だ。

逮捕ではなく、安否確認と病院。これを「署長だから特別扱い」と読むか、「本来、だれにでもこうあるべき扱い」と読むか。ここで意見が割れる。

町はミナルディ氏を有給の行政休職にし、外部の調査員を入れた。署長の仕事は副署長が代わりに担う。町のコメントは「調査中の人事に関する案件のため、これ以上のコメントはしない」(訳)の一言だけだ。冗談ではなく本当のニュースを集めるRedditの板で1位になったこの話の結末は、逮捕ではなく、病院だった。

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