俺、メンバー表に
入ってなかったから

――ある上司が、負けた部下に

11/5 12:23 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

中間選挙の敗因、落選した共和党候補はだれもトランプ大統領を責めなかった

11月3日のアメリカの中間選挙で、共和党が上下両院の多数派を失った。トランプ大統領(80)は11月4日未明、自分のSNSトゥルース・ソーシャルにこう書いた。「私は投票用紙に載っていなかった。もし私が載っていたなら、われわれは圧勝していただろう!」

言っていることが、選挙戦のときと逆だ。10月中旬の集会では「私が投票用紙に載っていると思って投票してほしい」と、何度も繰り返していた。

では、本当に名前が載っていた人たちは、どうしていたのか。テキサス州の上院選に出た共和党のケン・パクストン氏は、3日の夜に負けを認める演説をした。得票率は43%。民主党のジェームズ・タラリコ氏が55%で、差は12ポイントだった。

落選した3人は、だれもトランプ氏を責めなかった

パクストン氏は、まず勝った相手を祝った。「彼のために祈ると約束する。テキサスとこの国のために、良いことをしてくれるように」。そしてこう続けた。「今夜は全国的に厳しい夜になった。でも、終わりではない」。トランプ氏の名前は、一度も出てこない。

ジョージア州の上院選で民主党のジョン・オソフ氏に負けたマイク・コリンズ氏は、もっとはっきりしていた。負けを認める演説で、勝った相手の名前には触れなかった。代わりに言ったのがこれだ。「もう一つ知っておいてほしい。私の人生でいちばんの大統領の下で働けたのは、名誉であり、特権だった。ドナルド・J・トランプ大統領だ」

サウスカロライナ州のダーリン・グラハム上院議員も、負けた夜に「わが党の候補者になれたことを、どれほど誇りに思っているか、言い表せない」と話した。米誌フォーチュンによれば、パクストン氏、コリンズ氏、グラハム氏の3人は、いずれもトランプ氏が自分で選んで推した候補だった。3人とも、大統領を責めなかった。

責めたのは、投票用紙に載っていなかった2人

では、だれが責めたのか。ヴァンス副大統領は4日、共和党が負けた理由をこう言った。「われわれが負けた理由は、戦争だ」。イランとの戦争のことだ。フロリダ州のロン・デサンティス知事も4日、「この100年で見てきた中でも、共和党にとって絶滅級の出来事にいちばん近い」「政治版の隕石衝突だ」と話した。

ガソリンスタンドの価格表示
写真はイメージ Photo by Rock Staar on Unsplash

お金の話は、トランプ氏自身も認めている。「イランで私がやっていることには、人々は賛成している。でも、ガソリン代が高くなるという短期的な結果は、たぶん受け入れる気がなかったのだと思う」(米FOXニュースに)

数字もそう出ている。AP有権者調査では、全国で約3分の2の有権者が「トランプ氏の政策で経済は悪くなった」と答えた。その人たちの約8割が、下院では民主党に入れた。テキサスでは、物価高のつらさが「深刻だ」と答えた人の約4分の3がタラリコ氏に投票している。

候補者がトランプ氏に近すぎたことも効いた。ノースカロライナ州では、約6割の有権者が共和党のマイケル・ワトリー氏について「トランプ氏に寄りすぎだ」と答えた。ノースイースタン大学のマーサ・ジョンソン准教授(政治学)は、共和党で候補者の質が問題になったのは、予備選挙でのトランプ氏の影響力そのものの表れだと指摘した。

ホワイトハウス側の見方は違う。ある政権関係者は「候補者の質は重要だ。トランプ大統領は、投票用紙に載った多くの候補者を、候補者自身よりもうまく売り込んだ」と話した。

ネットの評判

はてなブックマークの「人気・政治と経済」で、このAFPの記事は4日に4位まで上がり、126人がブックマークした。コメントで目立つのは、選挙前は「私が載っていると思って」と呼びかけ、負けたあとは「載っていなかった」と言う、その逆さまぶりへのあきれ声だ。2020年の大統領選の結果を認めなかったことを思い出す、という声もある。負け方にきれいさがない、という書き込みも複数あった。記事に出てくるホワイトハウスの「閉じこもった空気」に触れた声も見られた。

上院は、まだ全部決まっていない。米CBSニュースによると、11月4日午後(米東部時間)の時点で、民主党は少なくとも54議席を確保した。アラスカとミシシッピの2州が残っている。ミシシッピは96%の開票で数十票差だという。

投票用紙に名前が載って負けた3人は、だれもトランプ氏を責めなかった。責めた2人は、どちらも名前が載っていなかった。

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