子どもに近づかないで
ほしいんですけど
――全国からの電話が、蛍光ベストを着た人に
写真はイメージ Photo by Declan Sun on Unsplash
イスラム教徒16人の登校見守りに、市役所へ抗議メール650件弱 市川市で何が
千葉県市川市の行徳地区で、モスクに通うイスラム教徒16人が、9月18日の朝、小学校と幼稚園の周りを歩いた。市から渡された蛍光ベストを着て、行徳警察署の署員が作ったルートを約1時間。子どもたちの登校を見守る活動だ。
それから1か月足らずで、市役所には全国から抗議が届いた。10月19日の時点で、メールが650件弱、電話が200件以上。多くが誹謗中傷や一方的な抗議だったと、AERA DIGITALが10月31日に伝えた。
なぜ、そんなことになったのか。
市が渡したベストで、市が「延期を」
団体の名前は「ヒラー・マスジド会」。6月に自主防犯活動団体として発足し、市に申請して認められた。参加したのはスーダン、マレーシア、シリア、パキスタンなどの人たちだ。朝7時前にモスクの前に集まり、新浜小学校、新浜幼稚園、幸小学校の周りを歩いた(千葉日報)。
10月11日に千葉日報がこの活動を報じると、Xで批判が広がった。市役所には電話とメールが相次ぎ、市は10月15日に団体のリーダーと面会した。そして10月16日の活動について、「できれば延期を」と求めた。このまま活動すると不測の事態が起きかねない、という心配からだった。
ベストを渡したのも市、延期を頼んだのも市だ。市の担当者は、規定に従って防犯用品を渡したと説明している。職員も暴言を受けた。担当者は「私自身、暴言とわかっていても、精神的にこたえた。率直に、外国人差別だと思う意見も多数ありました」と話す。そのうえで「一部の過度な要求に左右されることなく、公平で公正な姿勢で対応していきます」とも言っている。見守りを続けるかどうかは、今後、市がリーダーや警察を交えて話し合うという。
「お世話になってきた」から始めた
団体のリーダーは、宮澤アブドッラさん(56)。なぜ見守りを始めたのか。「長年、この町のみなさんにお世話になってきました。見守りをする人が高齢になり、若い人も少ない。私たちにも責任があると思ったのです」
その宮澤さんのところには、1日に十数件の電話とメールが来る。「日本で暮らすなら宗教を捨てるべきだ」「イスラム教徒に見守り活動などさせられない」「お前たちはテロリストにしか見えない」。熊本県からは、約20分間しゃべり続ける電話がかかってきた。宮澤さんは「それはヘイトですよ」と返したという。
そもそも、この団体ができたきっかけも市とのやりとりだった。5月下旬、モスク前の市立公園での集団礼拝をめぐって市との間に問題が起き、礼拝はモスク、交流の行事は公園、と分ける形になった。そこから、地域への貢献を増やそうという話になった(千葉日報)。
矛先は団体の外にも向かった。行徳警察署長の顔写真と実名を載せて非難する投稿も出ている。
ネットの評判
Xでは、活動そのものを疑う声が目立った。「小学校周辺をウロウロして『地域貢献』って……」「外国人犯罪者の下見」「子供達を危険に晒す」。子どもの顔や名前、通学路が把握されてしまうのではないか、という心配も書かれた。Yahoo!ニュースに載ったAERA DIGITALの記事には、2,049件のコメントが付いた。地元紙の報道をまとめた記事では、市が活動を認めた理由を問う声や、子どもとの接点が宗教の勧誘につながらないかという心配も紹介されている。ただしその記事は、書き込んだ人が地元の住民や保護者かどうかは確かめられていない、とも書いている。
では、地元はどうなのか。行徳駅前3丁目自治会の会長、黒須和美さん(68)はこう話している。「見回り活動で文句を言われるのですか?『ご苦労さまです』とねぎらうことはあっても、非難する理由はないでしょう。地域住民からのクレームは、私のところにはまったくありません」
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