『サムライ』は差別なのか 呼ばれた村上は気にしていなかった

ホワイトソックス実況アナの契約更新見送りと、米国で割れた受け止め

10/28 17:57 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

村上宗隆を「サムライ」と呼んだ米実況アナ、来季の契約なし 当の本人は「不適切なところはない」

米国時間の2026年10月26日(日本時間27日)、ホワイトソックスが、テレビ中継の実況を3年務めたジョン・シェフェリン氏と来季の契約を結ばないと発表した。同じ日に、MLB公式サイトのスコット・マーキン記者が「球団はシェフェリン氏に、主力の実況として契約を延長しないと伝えた」とXに投稿している。日本でこの話が広がっているのは、その理由として取り上げられたあだ名のせいだ。村上宗隆を「サウスサイド・サムライ」と呼んだ、あの実況だ。

「サムライ」の一言と、呼ばれた本人の反応

きっかけは3月31日、マイアミでのマーリンズ戦だった。シェフェリン氏は3回に「多くのファンが村上宗隆のあだ名を考えている」と前振りをして、村上が適時打を放つと「An RBI single for the ‘South Side Samurai.’」(サウスサイド・サムライの適時打だ、の意)と叫んだ。解説のゴードン・ベッカム氏も「Whoa! Oh, baby!」と乗った。

ところが、球団の受け止めは逆だった。シカゴ・サン=タイムズのジェフ・アグレスト記者が4月2日、人種差別とも受け取られかねないあだ名をめぐって球団事務所に波紋が広がり、今後は使わせない方針だと報じた。球団は、この件について公には何も言っていない。米国では、ある国の出身者を一つのイメージで呼ぶことに慎重になる、という説明もされた(Qoly、4月4日)。

では、呼ばれた村上はどう思っていたのか。ラジオ局WSCR-AMで野球を担当するブルース・レバイン氏が4月3日、Xにこう書いた。村上は「South Side Samurai」というあだ名で構わないと話し、不適切なところは何もないと言っていた(訳)。日本では、野球の代表の愛称は侍ジャパンで、サッカーの男子代表の愛称はSAMURAI BLUEだ。「侍」は、自分たちで選んで使っている言葉だ。ここで、日米の感覚がずれた。

ネットの評判

日本では、この話がはてなブックマークの人気エントリーの上位に入り、Xでもトレンドに並んだ。まとめサイトには「サムライは人種差別だとしてクビになる」といった見出しが立ち、あだ名が解任の理由だと読める形が多い。「侍ジャパンもSAMURAI BLUEもあるのに」「本人がいいと言っているのに、なぜ周りが怒るのか」という書き込みが目立つ。米国のホワイトソックスファンの掲示板でも、このあだ名が定着するかどうかの書き込みが並んでいた。ただ、声の多さは、球団が何を考えたかの証拠にはならない。

球団は、理由を言っていない

球団の上級副社長ブルックス・ボイヤー氏は声明でシェフェリン氏を「a true professional」(真のプロ)と呼び、3年間の中継に「energy, enthusiasm, and a distinctive style」(活気と熱意、独特のスタイル)をもたらしたとたたえた。あだ名には触れていない。シェフェリン氏も「I’ll always cherish the memories and look forward to what’s next.」(思い出はずっと大切にする。次に来るものが楽しみだ)とコメントを出しただけだ。

米国の報道でも、あだ名は「小さな火種」の一つとして並ぶだけだ。地元のSox Machineは、プレーオフ進出が決まる9月24日の試合を欠席してUFCの実況に行ったこと、固有名詞の読み間違い、地元メディアとの衝突を挙げている。後任は全米から探すという。

ファンが球場でシェフェリン氏に向かって叫んでいたのは、問題になったあだ名ではなく、村上が本塁打を打ったときの決め台詞「Show me the Mune」だった。

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