『普通に暮らせない』に、別の受け取り方?
佐藤弘道が後遺症を書いた投稿と、障害のある人たちの言葉
佐藤弘道「一生治りません」 『普通』に立ち止まる人たち?!
体操の「ひろみちお兄さん」、佐藤弘道さんが2026年10月27日、自身のインスタグラムを更新した。2024年6月に発症した脊髄梗塞の今を、自分の言葉で書いている。
まず、検査の報告だ。「この二日間、病院でした。検査をしましたが、特に悪くなっている所も無く安心しました」(原文ママ)。そのうえで、病気についてこう続けた。
「『脊髄梗塞』は一生治りません。下半身麻痺、歩行障害、排泄障害などの後遺症が残り、普通の人のように暮らすことは出来ません」(原文ママ)
投稿は、ここで終わらない。「当たり前は幸せなことです!座れる、立てる、歩ける、走れる、トイレに行ける」(原文ママ)と並べ、それができなくなったときに「当たり前って、幸せなことなんだなぁ~!」(原文ママ)と実感したと書いた。読む人にも「自分の周りにある『当たり前』を幸せなことだと感じられるような暮らしをしてみてね!」(原文ママ)と呼びかけている。
なぜ、一生治らないのか
脊髄は、背骨の中を通る太い神経の束だ。では、なぜ治らないのか。傷ついた脊髄の神経は、元に戻しにくい。国立障害者リハビリテーションセンター病院は「従来、こうした脊髄神経はいったん傷がついてしまうと回復させることは困難で、麻痺もけがをして数か月はある程度の自然回復がみられるものの、そのあと回復させる治療法はないと考えられてきました」(原文ママ)と説明している。同病院はこの説明に続けて、脊髄の再生医療について近年の研究を紹介している。
佐藤さんは活動に戻っている。スポニチアネックスによると、2025年3月には「うたコン」で歌とダンスを見せ、2026年9月にはYouTubeを始めた。
ネットの評判
Yahoo!ニュースのコメント欄では、自分の体に引きつけた声が目立った。「あたりまえに動けるって幸せですよ。ふつうの動きができない苦しみストレスは本人しかわからない」「年を取ると身に沁みてわかるね。膝が壊れてから、歩く走るがどんなに素晴らしいことだったか気付く」(いずれも原文ママ)。「健康を維持して、普通に生活できることが尊い」と書く人もいた。投稿はスポーツ報知やスポニチアネックス、ライブドアニュースなど複数のサイトで記事になった。ただ、ネットの声は、事実の裏付けにはならない。
『普通』に、立ち止まる人がいる
佐藤さんの「普通の人のように暮らすことは出来ません」は、自分の状態の説明だ。ただ、障害のある人たちは、この「普通」という言葉そのものを、前から考えてきた。
ADHDなどがある平山菜緒さんは、雑誌新ノーマライゼーションの2020年9月号にこう書いた。「『普通』とは何でしょう?」「障害の程度や種類は違っても『普通』という言葉に苦痛を感じながら生きている方がたくさんいるのです」(いずれも原文ママ)。全盲の山田菜深子さんは、ウェブメディア「パラちゃんねるカフェ」の2022年9月27日の記事で「『健常』とはどういうことでしょうか。文字通り解釈するなら、『常に健やか』ということになります」(原文ママ)と書き、自分は障害者でも健常者でもあるとした。
国の言葉づかいは、向きが逆なのだ。内閣府のノーマライゼーションの計画は、「障害のある人々が社会の構成員として地域の中で共に生活を送れるよう」にすることを掲げる。国の側では「普通に暮らせる」は、障害があっても目指す状態だ。佐藤さんは同じ言葉を、失ったものとして使った。
なお、平山さんも山田さんも、佐藤さんの投稿について書いたわけではない。「普通」という言葉を前から考えてきた人の文章だ。佐藤さんの投稿への反応にも、言葉づかいを責める声は見当たらなかった。
投稿に付いたハッシュタグは5つ。「#脊髄梗塞 #歩行障害 #排泄障害 #当たり前 #幸せ」。病名と「幸せ」が、同じ一列に並んでいた。
人口は減ったのに、
市税は13年ぶりの高さ
――室蘭市の2025年度決算
賞をくれなかったから、
もう来なくていい
――トランプ米大統領が、ノルウェーに
43万円の新型冷蔵庫、錆びて見える
Xで話題のアクア「AQR-DUX51B」
- 佐藤弘道公式インスタグラム投稿(2026年10月27日、スポーツ報知が引用)
- 脊髄再生医療に関する解説(国立障害者リハビリテーションセンター病院)
- 障害者プラン~ノーマライゼーション7か年戦略~(概要)(内閣府)
- 佐藤弘道「一生治りません」後遺症について説明(スポーツ報知/Yahoo!ニュース)
- 同記事のコメント欄(Yahoo!ニュース)
- 佐藤弘道「一生治りません」自身の病状を明かす(スポニチアネックス/Yahoo!ニュース)
- ひと~マイライフ「普通」という名の大きな壁~普通とは何ですか?~(平山菜緒、新ノーマライゼーション2020年9月号)
- 障害者は健常者じゃないの?全盲の私が抱く言葉の違和感(山田菜深子、パラちゃんねるカフェ、2022年9月27日)
- 「みんなの”普通”は普通じゃない」母の言葉が12年間の呪縛を解いた(Media116)
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