おれの曲、
なんでおすすめに出ないの?

――AIで曲を作る人が、配信アプリに

写真はイメージ Photo by Abdul Artega on Unsplash

10/24 20:27 / 発信国:日本 / 記者:宮村

Spotifyが5千万曲をおすすめから外した まじめなAI作曲者も弾かれる?

Spotifyが今年、おすすめから外した曲が5,000万曲を超えた。10月20日の発表だ。これとは別に、7,500万曲をサービスそのものから消している。こっちは規約違反による削除。自分の曲が入っていないか、気になる人もいると思う。

外されたのは、Spotifyがスロップと呼ぶ低品質なAI曲と、スパムだ。大事なのは、消したのではなくレコメンドから外した点。曲は残っている。検索すれば出てくるし、フォローしていれば流れてくる。

外されたのは「AIで作った曲」ではない

では、どうやって選り分けたのか。Spotifyが挙げたのは、聴く人の反応と、アップロードのやり方だ。スキップされた曲、無視された曲、不快だと報告された曲をたどると、AI製やスパムと判定される曲が目立って多かったという。そこにアップロードのパターン、メタデータ、外部のAI検知ツールの情報を重ねる。米Gizmodoは、Spotifyが追っている手口として、大量アップロード、同じ曲の重複、検索対策、スパムのプレイリスト網、不自然に短い曲を挙げている。

パソコンで曲を作る机の上
写真はイメージ Photo by Akin Cakiner on Unsplash

つまり基準は「AIで作ったか」より「どう出したか」に寄っている。8月に発表されたAI Personaのバッジも、見ているのはアーティストの見た目や名義で、曲の作り方ではない。審査で付いた人には通知が行き、異議を申し立てられる。制作にAIを使ったことは、別の「AIクレジット」に書く仕組みだ。こちらは毎日数万件が登録されていて、Spotifyは、その大半に人間のクレジットも並んでいると説明している。

それでも、まじめに作る人が引っかかるところ

ただ、気になる点は残る。判定の材料に「スキップされた」「聴かれなかった」が入っているなら、無名の人ほど不利にならないか。名の知れた人の曲は最初から再生されるが、始めたばかりの人の曲は誰も押さない。

宅録用の鍵盤と機材
写真はイメージ Photo by omid armin on Unsplash

そしてSpotify自身が、公式の発表にこう書いている。AIの検知技術には限界があり、生成AIが進むほど見分けるのは難しくなる、と。いたちごっこになる前提を、会社のほうが認めている。

5,000万曲の除外について、1曲ずつ異議を申し立てられる仕組みがあるのかは、Spotifyの発表を読んでも確かめられなかった。異議の話が書かれているのは、AI Personaのバッジだけだ。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄には、数は少ないものの、厳しい声が並んだ。「そもそもAI音楽がイラネ」「平和な世の中にゴミを撒き散らしてはいかん」。「誰でもリリースできる仕組みをやめたほうがいい」と、もっと手前で止めろという意見もあった。業界でも、ユニバーサルとソニーがAI作曲サービスのSunoを訴えている。人間のアーティストの取り分が薄まる、という主張だ。

少数派の声もあった。あるユーザーは、AIを使ったかどうかの判定は「性善説でしかない」と書いた。正直に申告した人が損をするうえ、2027年にはAIの痕跡を消す技術が広まるから、いまの方針は破綻する、という見方だ。ついでに言うと、AI音楽を強く否定したコメントのほうが、「共感」より「うーん」の数が多かった。読む人の気持ちは、コメントの見た目ほど一枚岩ではないらしい。

AIらしい曲には、おすすめの手前にもう一つの壁がある。2024年にできた、年1,000回再生に届かないとお金が入らない決まりだ。Spotifyによると、AI生成の可能性が高い曲は、この1,000回に届かない確率が、ほかの曲の10倍ある。

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