ピザのパイナップル論争で、人が解雇された

店の子どもメニューには、前から載っていた

写真はイメージ Photo by Ellie. J on Unsplash

11/6 12:39 / 発信国:オーストラリア / 記者:工藤

イタリア人シェフ、パイナップルのピザを拒んで解雇 負けた理由は締め切り

イタリア人のシェフが、ピザにパイナップルを乗せるのを断って、仕事を失った。場所はイタリアではない。オーストラリアのブリスベンで、2026年5月20日に解雇された。ネットの定番ネタのはずが、、、本物の労働審判まで行ってしまった。

シェフの名前はダビデ・タンブレッラさん。イタリア料理店「ラ・コスタ」で料理長をしていた。解雇の前に、1万5,000オーストラリアドル(約166万円)分の団体の宴会が入った。支払う客が「ハムとパイナップルのピザが欲しい」と頼んだ。タンブレッラさんは断った。イタリア人として、ピザにパイナップルを乗せるのは自分の文化への侮辱だ、というのが理由だ。同じ指示を断ったのは、4年で3回目だったと本人も認めている。そのうえ店側に、イタリア人がパイナップルを乗せない理由を調べてほしい、とも頼んだ。

負けた理由は、文化ではなかった

タンブレッラさんは、解雇は不当だとしてフェア・ワーク・コミッションに申し立てた。ジェニファー・ハント委員は11月3日の決定で、申し立てを却下した。理由は、21日の期限を過ぎていたからだ。例外を認めるほどの事情もなかった。つまり「文化を理由に指示を断っていいのか」という中身は、まだ誰も判断していない。11月6日の時点で、本人が改めて申し立てたという話は出ていない。

厨房でピザを焼く職人の手元
写真はイメージ Photo by Revolve Pizza Oven on Unsplash

店側の言い分はこうだ。経営者のエリオット・イングラムさんはガーディアンに、宴会の客の注文だったと説明した。パイナップル入りのピザは「自分のいちばんの好物ではない」が、飲食業17年で「戦う相手は選ぶ」ことを覚えた、とも話している。決定文には、ほかの問題も並んでいた。乱暴な言葉づかい、話し方、職場でいらだちを強めたこと。ちなみに「ラ・コスタ」の子ども向けメニューには、ハムとパイナップルがもとから載っていた。

失ったのは、仕事だけではない

ここは重い話だ。タンブレッラさんは3年以上かけて、サブクラス186ビザの手続きを進めていた。雇い主が指名して、永住権につながるビザだ。解雇で、その手続きは終わった。もう一度、最初からやり直すことになる。4月に右手を2か所折っていたことも、決定文にある。「ラ・コスタ」は7月に店の賃貸期限が切れ、閉店した。

タンブレッラさんは、いまブリスベンのイタリア料理店「ドン・ジーノ」で料理長をしている。その店のメニューに、パイナップルの乗ったピザは1つもない。ここなら、もう断らなくていい。

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