ローマ教皇も、
選挙に行っていいのかな

――カトリックの内部から、批判と支持

写真はイメージ Photo by Alex Horlamus on Unsplash

11/3 19:36 / 発信国:アメリカ / 記者:宮村

ローマ教皇が米中間選挙に投票 教会2000年の歴史で初

教皇庁は10月30日、ローマ教皇レオ14世が11月3日のアメリカの中間選挙で、郵便投票をしたと発表した。世俗の選挙で教皇が票を投じたのは、2000年の教会の歴史で初めてだ。レオ14世はシカゴ生まれ、本名はロバート・フランシス・プレボスト。アメリカとペルーの国籍を持つ。

分かっていることを並べる。レオ14世は10月3日、イリノイ州ウィル郡の窓口に郵便投票の用紙を請求した。登録地はシカゴ近郊のニューレノックスという町だ。教皇庁の広報室は「アメリカ市民としての投票権を、資格があるときは常に行使してきた」と説明し、教皇が「市民が民主的な過程に参加する権利と義務」を信じていると伝えた。ペルーに住んでいたころも、投票できるときは投票していたという。

では、法律の上ではどうなのか。アメリカの法律では、外国に住むアメリカ市民は不在者投票ができる。

「教皇は、もう一国の市民ではない」

ただ、カトリックの側から批判が出た。保守系のカトリックのニュースサイト「ライフサイト・ニュース」に載ったガエターノ・マシウロの論考は、「教会2000年の歴史で初めて、教皇が票を投じ、カトリックの君主としての聖なる職務を裏切った」と書いた。教皇になった人は、もう特定の国の市民ではなく全信徒の「共通の父」だ、という考え方だ。聖座が一つの国に結びつけば、世界の信者が「外国勢力の代理人」と見られかねない、という心配も書いている。

前の教皇はどうだったか。ヨハネ・パウロ2世(ポーランド出身)もベネディクト16世(ドイツ出身)も、在位中に母国で投票していない。聖座の国務長官、パロリン枢機卿は、権利はあるのにイタリアの選挙と国民投票には加わらないと、公に言っていた。

米司教協議会は「模範だ」

一方、アメリカのカトリック司教協議会は支持した。広報局長のチエコ・ノグチは「投票することで、教皇は一人一人の市民が市民としての責任を果たすよう促す模範を示している」との声明を出した。法律の解説サイトは、1929年のラテラノ条約の24条に、教皇個人の投票を禁じる文言はないと指摘する。個人としての行いであり、聖座の行いではない、という理由だ。

郵便投票の封筒
写真はイメージ Photo by Tiffany Tertipes on Unsplash

分かっていないこともある。教皇が誰に入れたかは、明かされていない。投票日は11月3日。結果が出ても、この1票の行き先は、たぶん公表されない。

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