治ってきてはいる。
でも、大丈夫とは違う

――死刑執行を生き延びたクリスタ・パイク(50)

11/3 19:24 / 発信国:アメリカ / 記者:宮村

米テネシー州で死刑を生き延びた女性、1か月後の初声明「ずっと痛い」

テネシー州の死刑囚クリスタ・パイク(50)が10月30日、弁護団を通じて声明を出した。9月30日に薬物注射による死刑を執行されたが、生き延びた。それから1か月。本人が口を開いたのは、これが初めてだ。

声明は英語で、訳すとこうなる。「あの夜から、痛くない瞬間は一度もない」「体が痛い。腕が痛い。手が痛い。喉が痛い」。そのうえで「回復はしている。強くなってきているのも分かる。でも、治っていくことと、大丈夫であることは、同じじゃない」と続けた。「これだけ多くの人をこんな立場に追い込んだ無能さに、深く傷ついている」とも書いている。

針は7本、薬は2回

あの夜、州の執行チームは1時間かけて点滴の管を入れようとした。弁護団が裁判所に出した書面によると、左腕に少なくとも7本の針が刺された。ペントバルビタールを2回入れても、パイクは死ななかった。病院で人工呼吸器につながれ、意識が戻ったのは10月6日。10月10日に刑務所へ戻った。アメリカで薬物注射を生き延びた人は、これが初めてだ。弁護士のスティーブン・フェレルは、腕に残った薬のやけどについて「治りがとても遅い」と話した。パイクは精神の回復にも、かなり苦しんでいるという。

なぜ失敗したのかは、まだ分かっていない

薬が血管の外へ漏れた疑いが指摘されている。弁護団は執行の前から、パイクの静脈が異例なほど細く、管を入れるのが難しいと伝えていた。ただ、原因の結論はまだ出ていない。ビル・リー知事は年内の執行を止め、元連邦検事のエド・スタントンに第三者の調査をさせている。10月3日には矯正局長のフランク・ストラダが辞めた。2回目を入れたあとどうするかが、州の手順に書かれていなかったという問題も出ている。

刑はどうなるのか

知事は10月29日、「裁判所が別の判断をしない限り、彼女の刑は以前と同じままだと思う」と話した。弁護団は死刑を終身刑に変える減刑を求めている。100を超える暴力防止の団体や専門家も、知事に恩赦を求める書面を出した。州上院の共和党議員9人も、独立した調査を求めている。

一方、パイクが1995年に殺したコリーン・スレマー(当時19)の母メイ・マルティネスは、10月初めにこう話した。「私がどう思うかは関係ない」「あの人たちは、やると決めたことをやるでしょう」。

次に出てくるのは、スタントンの調査報告だ。それが出るまで、テネシー州は執行をしない。

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