肉とご飯、合うって
本当だったんだな
――アメリカのXユーザーが、日本のユーザーに
写真はイメージ Photo by Xavier Chng on Unsplash
「アメリカ版牛丼」の材料費を計算してみた 日本で自作すると牛丼1杯と同額
アメリカのXユーザーJayさん(@emridog)が、焼いた牛ブリスケットをご飯に混ぜ、肉汁をかけて食べた写真を投稿しました。添えられていたのは「日本の兄弟たちが、あまりに肉とライスの組み合わせの話をするから、試してみた」という一文です。この投稿はまとめサイトTogetterで2026年10月28日に取り上げられ、日本のユーザーから「アメリカ版牛丼」と呼ばれています。
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アメリカ版「牛丼」の中身
使われていたのはブリスケット。日本語でいう肩バラ肉で、アメリカのバーベキューで長時間いぶす定番の部位です。これをご飯に混ぜ、受け皿にたまった肉汁をかける。味付けはそれだけ、という作り方でした。
Jayさんはそのあとも「This was pretty darn good….」と投稿しています。日本のユーザーからはわさびと醤油を足す案、にんにくの効いたタレを使う案が寄せられ、「それはローストビーフ丼ではないか」と、日本の「丼」という考え方を説明する人もいました。
つまり多くの人は「うまそうだが、牛丼とは別物」という受け止めでした。ただ、筆者が気になったのは呼び名ではなく、値段のほうです。
100gあたりで計算してみた
まず、アメリカ側の材料費です。
米農務省の農業販売促進局(AMS)が集計するスーパーの広告価格では、2026年10月17〜23日の1週間、ブリスケット(かたまり)の全米平均は1ポンド4.50ドルでした。集計は78店舗で、安い店は3.99ドル、高い店は5.99ドルです。1ポンドは453.6gなので、100gあたり約0.99ドル。2026年10月28日の為替が1ドル157円90銭前後なので、日本円で約157円になります。
お米は、米労働統計局(BLS)の全米都市平均で、白米(長粒種・未調理)が1ポンド1.118ドル(2026年9月)。100gあたり約39円です。
肉100gと生米100gで、ざっと196円。ここに肉汁をかけるだけですから、1杯の材料費は200円前後という計算になります。
日本で同じものを作ると約491円
次に日本側です。牛丼チェーンの材料費は公表されていないので、店頭価格と、自分で作った場合の材料費を並べます。
吉野家の牛丼並盛は店内で税込498円、持ち帰りで税込489円。すき家の牛丼並盛は税込480円で、こちらは2026年7月8日に450円から改定された価格です。
一方、自分で作るとどうなるか。総務省の小売物価統計調査では、輸入牛肉(冷蔵品で肩ロースまたはもも)の全国平均が100gあたり434円(2026年6月、税込)。お米は農林水産省が全国約1,000店のスーパーから集めたPOSデータで、精米5kgの平均が2,860円(2026年9月28日〜10月4日、税込)、100gあたり約57円です。
足すと約491円。吉野家の並盛との差は7円でした。日本では、材料を買ってきて自分で作っても、店で食べるのとほぼ同じ値段になるという数字です。
ただし、この比較には条件の違いがあります。ブリスケットは肩バラで、統計上の「輸入牛肉」は肩ロースまたはももなので、部位が同じではありません。ブリスケットの4.50ドルは特売の広告価格、小売物価統計は特売を含まない価格です。お米も長粒種とジャポニカ米で別物です。それでも、100gで157円と434円という開きは、条件の差だけでは埋まらない大きさだと筆者は見ています。
ネットの評判
Togetterのまとめと、そこで引用されたXの投稿を見ると、日本側の声はおおむね好意的でした。「うまそう」という反応に加えて、わさびと醤油、にんにく入りのタレといった食べ方の提案が並びます。日本の食文化がアメリカに広がることを、冗談めかして喜ぶ投稿もありました。
一方で、「これは牛丼ではなくローストビーフ丼だ」と線を引く声もあり、丼という料理のくくり自体を説明する人もいました。Jayさんはその説明に礼を述べ、もっと知りたいと返しています。
筆者が気になったのは、部位の話
吉野家は公式サイトで、牛丼に使う牛肉を北米産の穀物肥育の「ショートプレート」(牛バラ肉)と説明しています。赤身と脂身の割合は6対4、スライスは1.3mm。さらに、脂身と赤身の比率や厚さを規定した「吉野家スペック」を米国側に提案し、これがのちに「ジャパンスペック」と名を変えて米国農務省の規格のひとつになったと書かれています。
つまり、牛丼の肉はもともとアメリカで日本向けに切られている部位です。Jayさんが選んだブリスケットは、そのショートプレートの隣にある部位にあたります。本家の材料が、本家より安い値段でアメリカに置かれている、という構図です。邪道かどうかより、筆者にはこの位置関係のほうが面白く見えました。
まとめ
数字を並べてみると、アメリカ版は1杯200円前後、日本で同じ量を自作すると約491円、吉野家の並盛は税込498円。呼び名の是非はさておき、同じ「肉とご飯」でこれだけ値段が変わるという話として読むと、受け止め方も変わってきます。
出典
米農務省農業販売促進局「National Retail Report – Beef」(2026年10月17〜23日分の集計)/米労働統計局「Average Price: Rice, White, Long Grain, Uncooked」(2026年9月)/吉野家公式サイト「牛丼」「牛丼に最も合う牛肉」/すき家の価格改定の報道/総務省「小売物価統計調査」/農林水産省のスーパーPOSデータ/Togetter「アメリカニキ『日本の兄弟たちがあまりに肉とライスの組み合わせのこと話すから試してみた』」
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- Average Price: Rice, White, Long Grain, Uncooked (U.S. City Average) 米労働統計局/FRED
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