このカメラ、付けたまま
仕事してもらえる?
――ある工場の上司が、ミシンを踏む人に
写真はイメージ Photo by Luba Glazunova on Unsplash
頭にカメラで8時間、約780円 インドの職人が撮る「ロボットの教材」
インドのバンガロールで理容師をしているモハメド・アシムさん(22)は、頭にカメラを付けて髪を切っている。映るのは自分の手と指だけで、客の顔はぼかされる。1日5〜6時間、そうやって撮った映像が、ロボットの教材として売られていく。で、いくらになるんだろう?
8時間撮って、約780円
映像を集めるラシュダン・テクノロジーズは、8〜10時間分の作業映像に5〜10ドル(約780〜1,570円)を払う。安いほうだと、1時間あたり80円ほどだ。共同創業者でCEOのシャヒル・バイグさんはBBCに、顔ではなく手を撮り、名前や連絡先は発注元に渡さないと話した。
なぜ、こんな映像にお金が付くのか。文章や絵を作るAIと違って、フィジカルAIには、人が体を動かしている映像が要る。そういう記録は、ネット上に落ちていない。ヒューミン・ラボズの創業者マニシュ・アガルワルさんはBBCにそう話した。だから、撮りに行くしかない。ヒューミン・ラボズには、ラテンアメリカと東南アジアに9万6千人の撮影協力者がいるという。
撮られているのは、工場や農作業から、料理や洗濯、陶芸、縫製、ろうそく作りまで。理科の先生のジョリー・アリフルさんは7か月、家事を1日3〜5時間撮り、時給2〜3ドル(約310〜470円)をもらっている。繊維の仕事を10年続けたモハメド・アルマンさんの言い方は直球だった。「これは生き延びるためだ。ビハールに家族がいて、送る1ルピーが大事なんだ」
もらったのは、マンゴージュース1本
ここまでは、お金を受け取って自分で撮っている人の話。ところが同じインドで、まるで違う撮り方もあった。
インドのScrollとThe Wireが報じたところでは、2026年3月末から4月初め、デリー近郊のパール・アパレルの工場2か所で、働く人たちが白いヘッドカメラを渡され、仕事中に付けるよう言われた。ザラやギャップに服を納めるパール・グローバル・インダストリーズの工場だ。同意は口頭でも書面でも求められていない、と働く人たちはThe Wireに話している。追加の金も出ていない。渡されたのは、ぬるくなったマンゴージュース1本だった。
カメラを出していたのはエゴラボ(Egolab.AI)。2026年1月に、マハラシュトラ州の19歳と18歳が作った会社だ。「インド最大の一人称視点データ集約会社」と自称し、工場で働く人の一人称視点の映像を集める。インドのデジタル個人データ保護法は守っているとScrollに説明した。工場の月給は2万〜3万ルピー(約3万3千〜5万円)。月曜から土曜まで、1日12時間だという。
ネットの評判
4月、ヘッドカメラを付けた工場労働者の映像がネットで広まった。IBTimes UKによると、インスタグラムのコメント欄には「ディストピアの悪夢だ」と書く人がいて、断ったらどうなるのかという疑問も出た。Redditでは意見が割れ、同意を取ったのかと問う声と、撮るだけで収入が増えるならいいという声の両方があった。
カメラを外し続けた2週間
タタ社会科学研究所のビノ・ポール教授はBBCに「自分が何に参加したのかに働く人が気づくころには、事態は進んでしまっているかもしれない」と話した。バイグさんによると、発注元の要望も変わってきた。1台だったカメラが、頭の周りに4〜6台。同意を取るのは「まったく違う話で、もっと難しい」。
ただ、デリー近郊の工場では、働く人たちが黙って付けてはいなかった。The Wireによると、アンクシュ・ヤダブさんたちはカメラをこじ開け、メモリーカードを自分のスマホに差して、何が映っているのかを確かめた。付けろと言われても、何度も外す人が続いた。ある中間管理職は「8時間ずっと付けていた人は、1人もいなかった」と話している。
この撮影は、2週間で静かに打ち切られた。
人口は減ったのに、
市税は13年ぶりの高さ
――室蘭市の2025年度決算
賞をくれなかったから、
もう来なくていい
――トランプ米大統領が、ノルウェーに
VIVANTの廃工場に、日本語の安全看板
TBS系『VIVANT』第21話/週刊女性PRIMEの報道
- The Indian workers filming their work to train AI(BBC、Yahoo News Australia転載)
- How Big Tech is harnessing the data of Indian factory workers to train robots(Scroll.in)
- India: Factory workers are training AI to replace themselves(Scroll.in・動画)
- Told to Train AI Models, Indian Workers Fought Back(The Wire)
- 'This Is a Dystopian Nightmare': Workers Told To Wear Forehead Cameras So Robots Can Learn Their Jobs(IBTimes UK)
- Meet the factory workers training A.I. to replace themselves