あなたはどっち セキュリティ

写真、クラウドに預ける?自分で持つ?

場面と、二人の言い分
  1. 預けていた資産が、取引所から大量に抜き取られました。世界最大の暗号資産取引所Binanceは、影響額を約63億ドル(約9,950億円)と発表しています。原因は、社内のエンジニアのノートパソコンが乗っ取られたことでした。
  2. 「端末は失くす、壊す、盗まれる!その時どうする?」
  3. 「クラウドに入れなくなったらどうするの?」

どっちの味方?最初の印象で選んでください。

クラウド任せ派 の言い分

写真は撮った瞬間から、もう自分の手の中にはありません。寝る前にスマホを充電器へ置けば、勝手に預け先へ上がっていきます。家に保存用の機械は一台もありません。整理もしません。全部、よその会社の棚に並んでいます。
こうなったのは、学生の頃に机からスマホを落としたからです。中の写真は全部消えました。修理の店に持ち込んだら、見積もりだけで給料ひと月分と言われて、そのまま持ち帰りました。いまでも覚えているのは、電話をかけて怒れる相手が、どこにもいなかったことです。自分の落とし物なので、怒る先がありません。預け先の会社なら、消えたときに問い合わせ先があります。窓口があり、謝る人がいて、直す人がいます。それだけで、夜はちゃんと眠れます。
手元に置く人を見ていて、いつも思うことがあります。あの人たちは、自分の守り方のほうが、よその会社の守り方より上手いと思っているのでしょう。火事と水漏れと落下と寝ぼけの消し間違いを、全部ひとりで防げる前提です。わたしは自分を信用していません。だから他人に預けます。

相手へ:落として全部消えた日、誰に電話をかけるんですか。実際に出た声 「単位時間あたりで見たリスクは、中央集権的な取引所を使うほうがおそらく低い」

手元に置く派 の言い分

寝る前に、机の引き出しから外付けの記録装置を出して、その日の写真を移します。自動で預け先に上がる設定は、買った日に切りました。預け先のアプリは入れていません。家族の写真も、旅行の写真も、全部あの引き出しの中にあります。
きっかけは、同じ趣味の知り合いが、ある朝いきなりアカウントを止められたことです。規約に触れたと一行だけ書かれた通知が届いて、理由は最後まで分かりませんでした。預けていた子どもの写真も、まとめて見られなくなりました。預け先が悪者だとは思いません。ただ、鍵を持っていたのが本人ではなかった、それだけです。問い合わせの返事を待つあいだ、あの人は自分の思い出を、他人の許可が出るまで見られませんでした。
預けきる人が、うらやましくないわけではありません。何も考えずに眠れるのだから。ただ、あの人たちが信じているのは、無くならないことではなく、無くなっても誰かが何とかしてくれることです。何とかしてくれると、どこかに書いてあるわけでもありません。わたしは、無くすなら自分の手で無くしたいのです。

相手へ:止められた写真を、それでも自分の物と言えますか。実際に出た声 「Not your keys, not your crypto」(鍵を持たぬ者は、コインを持たず)

どちらにも数えられない立場 預かる側で働く人

クラウド任せ派も手元に置く派も、守る側で働く人のことは数えません。乗っ取られたのは機械ではなく、毎朝そのノートパソコンを開けていた一人です。どちらが選ばれても、夜中に電話で起こされるのは、名前の出ない誰かです。

言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。

元ネタを読む →Binanceで約1兆円が盗まれても、取引所に預け続ける人がいる理由

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