州が3年断った宗教行事、裁判所が許可

断った理由は、仮装で手に持つ『棒』だった

写真はイメージ Photo by Jan Oblak on Unsplash

11/5 17:13 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

サタニック・テンプル、アイオワ州議会議事堂でのクリスマス会を裁判所が許可 州が3年断った理由は「棒」

11月2日、アメリカ・アイオワ州の連邦地裁が、州に命令を出した。サタンの名を掲げる宗教団体「サタニック・テンプル」のアイオワ支部に、12月12日、州議会議事堂のロタンダで祝日イベントを開かせること。しかも、7日以内に許可を出せ、と。州は同じ申請を3年続けて断ってきた。その理由が、、、思っていたより素朴だった。

州の総務局が問題にしたのは、イベントの中の「クランプスの仮装コンテスト」だ。クランプスは、手に棒を持っている。その棒で子どもを叩くかもしれない、というのが州の言い分だった。

団体側の弁護士マット・ケジャヤは、こう話している。「州は、仮装コンテストで棒を持つから、私たちが子どもを棒で叩くつもりだと言った」。申請したイベントの中身は、クリスマスの歌、子ども向けの塗り絵、オーナメント作りだ。

怖がらせるのは、断る理由にならない

ステファニー・ローズ裁判長の判断は、はっきりしていた。クランプスが子どもを怖がらせるという心配は「言論を排除する許される理由ではない」。小道具の心配も、議事堂でほかの行事にかけているのと同じ保安検査で足りる、とした。

州議会議事堂の丸天井の大広間
写真はイメージ Photo by Bee Calder on Unsplash

反対する側の言葉も残っている。2023年にこの団体が議事堂に置いたバフォメット像を壊した男性マイケル・キャシディは「私たちの憲法を書いた人たちは、悪魔を守ることが自分たちの信条に合うと考えたら、衝撃を受けるだろう」と話している。前の総務局長アダム・スティーンは、2025年11月の記者会見で、不許可は「子どもたちを守る」ためだと言った。

この団体が議事堂に置いた展示は、こういうものだった。

一方、団体側はこれを茶化しではなく、政教分離の試験だと位置づけている。ケジャヤは、州が議事堂の公共空間をクリスマスやハヌカーのイベントに貸すなら、気に入らない宗教団体に同じ権利を認めないことはできない、と主張してきた。

日本では、断るのに何が必要か

日本の公の施設でも、地方自治法244条で「正当な理由がない限り」利用を断れず、「不当な差別的取扱い」も禁じられている。最高裁は1995年3月7日の泉佐野市民会館事件で、断るには「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される」ことが必要だと示した。棒が怖い、では足りない。線の引き方は、アイオワの判断とよく似ている。

11月4日の時点で、州の司法長官室は、この決定を控訴するつもりだと話している。そして、今年の申請を断った総務局長マーク・キャンベルは、10月の審尋で、クランプスについて自分では調べていなかったと認めた。

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