セルフレジ、
本当に正確ですか

――あるスーパーの店員が、会計を終えた客に

写真はイメージ 撮影 TAKA@P.P.R.S/CC BY-SA 2.0(ウィキメディア・コモンズ)

11/5 10:59 / 発信国:日本 / 記者:宮村

セルフレジで万引きを疑われた男性 商品から外れたバーコードのみ通した

スーパーのセルフレジで会計を終えた直後、背中から声をかけられた。「その豆腐、レジ通しましたか?」。え、疑われている? この出来事を男性がThreadsに投稿し、西日本新聞meが11月4日に記事にした。豆腐の包装から、バーコードが印字された部分が外れていて、男性はそのバーコードだけをレジに通していた。会計のあとレシートを見ると、豆腐の商品名と金額はちゃんと印字されていた。

男性が「通しましたよ」と答えると、店員は何も言わずに引き下がったという。最初、男性は納得できなかった。「レシート見て払っている。確認なしに疑うだけで、謝罪の一言もない」。本部に問い合わせると、約1時間後に店舗責任者から謝罪の電話がかかってきた。

ところが、時間がたつと男性の言うことは変わっていく。「今思えば店側の対応は間違っていないと思います」。そのうえで「謝罪の一言はあってもいいのではないか」とも話し、最後はこう言った。「人と人。コミュニケーションがあればこんな気持ちにはならない」

声をかけないと、今度は店員が責められる

では、あの店員はどうすればよかったのか。店の側の数字を並べてみる。

2025年の万引きの認知件数は10万5135件。前の年より6843件増えた。一方で万引きの被害額は年に約3460億円と見込まれていて、警察に知られているのはそのうち0.3%ほどという推計もある。残りの99.7%は、表に出ないまま消えていることになる。

セルフレジは、その穴が特に大きいらしい。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんの記事によると、セルフレジを入れたあと万引きが増えたと答えた店は25%。1店舗あたり年100万円ほどの損という数字も出ている。

手口は具体的だ。関西テレビが6月に伝えた実演では、万引きGメンが6点723円分だけをレジに通し、実際には13点5495円分の商品を持ち去ってみせた。小松菜の後ろに高級肉を隠す「重ね打ち」が典型だという。同じ記事で専門家は、レジに通す前の不正は機械では見つけられないと話している。実験でいちばん効いた対策は、システムを賢くすることではなく「店員がちゃんと声かけすること」だった。

声をかけるのは仕事で、しかも効果のある対策でもある。その店員が、豆腐の男性に声をかけた。

ネットの評判

Threadsの投稿には、両方の声が付いた。「自分も聞かれた」「セルフレジはストレス」という共感の声が並ぶ一方、「レシートを見せれば終わり」「その場で確認すればよかった」と、やり方のほうを指摘する声も出た。

セルフレジをやめる店も出てきた

客も店員も気分が悪くなるなら、仕組みのほうを変えればいい。そういう動きが、アメリカにある。柏木さんの記事によると、安売りチェーンのダラー・ゼネラルは2024年、約1万9700店のうち約1万2000店でセルフレジをやめたり台数を減らしたりした。カリフォルニア州などでは、従業員を置くことを店に義務づける条例案も出ている。

買い物のレシート
写真はイメージ Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

日本では人手が足りない事情があって、やめる話にはなりにくい。だから豆腐のバーコードが外れていたら、客が気をつけるか、店員が声をかけるか、どちらかになる。

11月5日午前の時点で、店の名前も場所も明かされていない。本部に問い合わせた男性には1時間で謝罪の電話が来たが、声をかけた店員に何が伝えられたのかは、分かっていない。

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