大手は高いから
工務店にすれば安いよね
――安さの中身は、見積書で確かめる
写真はイメージ Photo by Avel Chuklanov on Unsplash
大手7社と工務店の建築費を比較 「工務店が安い」が逆転した1社
家を建てる相談になると、必ず出てくる一言があります。「大手は高いから、地元の工務店にすれば安い」。
その前提を数字で確かめた個人の試算が、はてなブックマークで注目を集めました。ハウスメーカー7社の価格を、同じ条件にそろえて並べた記事です。筆者はこの試算を、国の統計や各社の調査と照らし合わせてみました。
7社の価格を並べてみた
試算の条件は「延床40坪・2階建て・関東郊外」。金額は税込みで、土地代は含みません。
木造は、積水ハウス(シャーウッド)が約6,340万円で坪158.4万円。住友林業が約6,040万円で坪151.0万円。セキスイハイムが約4,960万円、一条工務店が約4,640万円、アキュラホームが約4,140万円。いちばん低いタマホームが約3,420万円で坪85.6万円でした。
鉄骨は、積水ハウスが約6,350万円、ヘーベルハウスが約6,140万円、セキスイハイムが約5,130万円です。
坪単価の上と下で、1.85倍。40坪なら約2,920万円の差になります。同じ広さの家の話とは、ちょっと思えない開きです。
一条工務店が2026年2月に1,712人に聞いた調査では、建築費の予算でもっとも多かった回答は「3,000万円以上4,000万円未満」で、27.2%でした。40坪でこの帯に収まる大手は、7社のうちタマホーム1社だけという計算になります。
工務店にすると、必ず安くなるのか
試算では、同じくらいの仕様を工務店に頼んだ場合の費用も、2通りの方法で出しています。仕様から積み上げる方法と、メーカー価格から逆算する方法です。
積水ハウスの木造と同等なら、工務店の平均は約5,430万円。メーカーより約910万円安くなります。住友林業相当では約620万円、セキスイハイムの木造相当では約330万円、いずれも工務店のほうが安くなります。
ところが、一条工務店だけ逆になります。メーカーが約4,640万円、工務店の平均試算が約5,000万円。工務店のほうが約360万円高いという結果でした。
理由は設備だと読めます。一条工務店には太陽光約13.5kW・蓄電池約7kWhが入っていて、試算ではこの設備に290万円を置いています。全館床暖房には380万円を見込んでいます。最初から積まれているものを後から足すと高くつく、という話です。鉄骨の3社では、いずれもメーカーのほうが安いという結果でした。
なお、この試算は個人が公開資料を補正したもので、書いた本人も「原契約は直接確認できておらず、特に平屋から延床40坪・2階建てへの補正には大きな誤差があり得ます」と注記しています。目安として読むものです。
ネットの評判
はてなブックマークでは37人が登録し、コメントは2件。どちらも、横並び比較そのものへの注文でした。
あるユーザーは「結局欲しくなる家が買えるかどうかで横断的な比較は無理があるのよね。アフター体制や倒産リスクもあるし」と書いています。別のユーザーは「過去の坪単価を参考にする場合は、価格の時点に加え、含まれていた断熱・設備・太陽光・蓄電池を確認すること」と、記事の注意書きを引いて念を押していました。
数字にすると分かりやすい。でも、並べた瞬間に落ちるものがある。そういう指摘だと受け取りました。
「建てない」を選んだ人は、統計に出ている
試算には、10年間の上昇率も載っています。一条工務店の木造が20.3%で最小、ヘーベルハウスの鉄骨が59.6%で最大。積水ハウス、住友林業、アキュラホームは50%台でした。
国の統計でも裏は取れます。国土交通省の建設工事費デフレーターは2026年4月分から2020年度を100とする基準に変わり、2026年6月の木造住宅は126.8。5年あまりで約27%上がった計算です。
この値上がりを前に、静かに降りた人たちがいます。新設住宅着工戸数の2026年8月分では、注文住宅にあたる「持ち家」が1万7,713戸。前年同月比は1.0%増ですが、2024年8月と比べると9.6%減でした。一方、建売の「分譲一戸建住宅」は7.5%増の1万182戸です。この減り方には、2025年3月までに起きた改正建築基準法の駆け込みの反動も含まれると報じられています。
先の一条工務店の調査では「注文住宅を希望する」が66.7%。希望は注文住宅に偏っているのに、着工が増えているのは建売のほう。この差に、注文住宅をあきらめた人が含まれていると読めます。
そして、受け止める側の工務店も楽ではありません。全国建設労働組合総連合が2026年3月から5月に1,609社に聞いた調査では、値上がり分について「一部を自社で負担」が35.4%、「全てを自社で負担」が8.6%。合わせて4割強が自分で飲んでいます。回答した工務店の48.9%は一人親方でした。
まとめ
「大手は高い」は、木造の上位では当たっていました。ただ、設備まで同じにすると逆転する社もあり、鉄骨では全社でメーカーのほうが安い。安さを工務店に求めるなら、何を外した分の安さなのかを、見積書で確かめるところからだと思います。
出典
今城健太郎「ハウスメーカーの今の建築費をどう考えるか」。国土交通省「建設工事費デフレーター」「新設住宅着工戸数」。一条工務店「理想の戸建てアンケート2026」。全国建設労働組合総連合「第6回工務店アンケート調査」。はてなブックマークのコメント。
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