金持ちには、抜け道を
作ってやるのか?
――Yahoo!ニュースのコメント欄から
写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash
自民が国税庁案に「容認できず」 非上場株の評価、純資産方式の4分の1だった
自民党の日本成長戦略本部が10月29日、国税庁が検討している非上場株式の相続税評価の見直し案に「容認することはできない」という緊急決議をまとめた。本部長は岸田文雄元首相。決議は、国税庁の案を議論の前提にせず「白地で議論を行うこと」を求めている。
株の評価の話か、と思うだろうか。でも、ここで決まるのは「会社を子に継がせるとき、いくら税金を払うか」だ。上場していない会社の株には、市場の値段がない。だから国の決めた計算式で値段を出す。その計算式を60年ぶりに作り直す、という話だ。
「4分の1」という数字
国税庁の案は、帳簿上の純資産に数年分の超過収益を足し引きして株の値段を出す「残余利益方式」だ。会社の大きさで計算式を分ける今の区分はなくす。上場企業の株価を参考にする類似業種比準方式は「存置は困難」とされた。もとになっている財産評価基本通達は1964年のものだ。
なぜ変えるのか。きっかけは会計検査院の指摘だった。検査院は、2020〜21年分の相続税などの申告から616社を調べている。1株あたりの評価額の中央値は、純資産価額方式なら4万2648円。類似業種比準方式だと1万1622円。約4分の1だ。616社分を合計すると、純資産価額方式では396億7909万円。実際に申告された額は168億9281万円で、半分以下だった。検査院は「株式評価の公平性が確保されているとはいえない」と指摘した。
安く出る仕組みは、節税にも使われてきた。ダイヤモンド・オンラインは、航空機のオペレーティングリースや、オーナー社長への多額の退職金で一時的に会社に損失を出し、自社株の評価額を下げるやり方があったと報じている。
守られているのは、だれの時間か
反発は自民党だけではない。日本商工会議所などの団体も、9月末から反対の声を上げた。東京商工リサーチが10月1〜8日に5257社から回答を集めた調査では、見直しの動きを知る企業は36.6%。そのうち56.2%が、評価額は「上昇しそう」と答えた。岸田本部長は29日の会議で「政府、与党として進めてきた成長投資を促して、強い経済をつくる方向性に逆行するという声が多い」と話した。
では、この反発で時間を稼げるのはだれだろうか。事業承継税制の特例措置が使えるのは、2027年12月31日までの相続と贈与だ。一方、国税庁が新しい計算式の適用を目指すのは2028年1月からだ。2027年末までに動けた人は、安く出やすい今の計算式と100%の猶予。2028年以降の人は、新しい計算式。「白地から」のやり直しは、この境目を後ろに押す効果もありうる、と筆者は読んだ。
もちろん、株の値段が急に上がれば継ぐ側が払えなくなる、という心配は本当だ。中小企業庁なども慎重な検討を求めている。国税庁の案も、しんしゃく率などの肝心の数字はまだ決まっていない。
ネットの評判
Yahoo!ニュースに載った時事通信の記事のコメント欄(29日時点で16件)では、声が割れていた。決議を支持する側からは「これは当然の判断 国税庁案だとほとんどの中小企業の株価が上がってしまう」という書き込みが出た。一方で「自民党に献金、パーティー券購入する企業からの要望ならこうやって聞くわけだ。」と、反発の動機を疑う声もあった。「60年前の法律だし是正も止む無しかなぁ?」と、迷いを見せる書き込みもあった。
覚えておくと得なのは、日付だ。100%の猶予が使えるのは2027年12月31日までの相続と贈与。国税庁が新しい計算式の適用を目指すのは2028年1月から。この境目をまたぐかどうかで、同じ会社の株に付く値段が変わる。どちらに動くのかは、年末の税制改正大綱まで分からない。
賞をくれなかったから、
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- 自民 非上場株式の新評価方法“容認できず”緊急決議(NHK)
- 非上場株評価、国税庁案認めず 「白地から議論を」―自民(時事ドットコム)
- 非上場株の相続見直し反対 自民、投資抑制を懸念(共同通信)
- 非上場株の評価方式めぐり自民党の成長戦略本部が緊急決議 国税庁案「容認できない」(TBS NEWS DIG)
- 非上場株の相続評価、自民決議「白地から議論を」 国税庁案認めず(日本経済新聞)
- 非上場株の相続税算定に「格差」 方式の違いで評価4倍(日本経済新聞)
- 非上場株の相続評価、見直し案に日商など反発 事業承継の負担増懸念(日本経済新聞)
- 非上場株評価額、「上昇」予想多く=国税見直し案、事業承継に影響も―民間調査(時事通信)
- 非上場株式の評価の見直し(続報)国税庁が示した見直し案と関係機関の意見(PwC Japan)
- 取引相場のない株式の相続税評価に新方式浮上 ― 国税庁「残余利益方式」たたき台を提示(税理士法人チェスター)
- 国税庁が中小企業の相続税節税スキームにメス、「非上場株式」評価方法を大幅見直し(ダイヤモンド・オンライン)
- 事業承継及び事業承継税制について 法人版(特例)(日本税理士会連合会)
- Yahoo!ニュース 時事通信記事のコメント欄