AIの声、だれの声から
覚えたの?

――日本俳優連合は、声のAI利用に指針を出した

写真はイメージ Photo by Will Francis - AI & Marketing on Unsplash

10/29 15:52 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

ドーシーの音声AI「Dessa」が人間すぎる でもだれの声で学んだかは書いてない

Twitterを作ったジャック・ドーシー。その人がCEOをやっている決済会社Blockが、10月23日に音声AI「Dessa」を発表した。テキストを一度も読まず、人間の会話の録音だけで、ゼロから学んだという。

公開されたデモの音声には、相づちも笑い声も入っている。相手の言葉にかぶせて割り込んでもくる。Blockは自社のページで、人間の音声だけから学んだAIと本物のように会話できるのは世界で初めてだと書いた。ドーシー自身も、話していると人と話している感じがして、感情も含みも豊かだと書いた。

ただ、発表を読んでいくと、一つ分からないことが残る。その話し方は、だれの声から覚えたのか。

テキストを読まずに、音だけで覚えた

これまでのAI音声は、だいたい二段構えだった。聞いた言葉をいったん文字にして、意味を考えて、できた文字を読み上げる。Dessaは、その文字を通らない。音を聞いて、音で返す。

パソコンの画面に映った音声の波形
写真はイメージ Photo by Egor Komarov on Unsplash

しかもフルデュプレックスに対応している。だから、ため息や皮肉、笑いをそのまま受け取って、そのまま返せる――と、Blockは説明する。

機械の規模も目を引く。学習に使ったのはGB200 NVL72が1台だけ。データセンターを丸ごと動かしたわけではない。できあがったモデルはリアルタイムより速く動き、MacBook Pro M4 Max以上なら手元のパソコンで動くという。

では、いつ使えるのか。まだ使えない。いまは順番待ちの登録を受け付けていて、少人数のAI安全研究者にだけ先に渡している段階だ。サンプルは英語だけで、日本語はもっと先になる。

ネットの評判

Xでは、まず驚きの声が並んだ。人工のものがここまで人間らしく聞こえたことはない、と書き込んだユーザーがいた。SFみたいだという反応も広がった。Binanceの創業者CZは、自分が関わる教育の企画に使えそうだと書いた。

一方で、心配の声も同じXから出ている。ジャーナリストのシブ・アルーアは、詐欺電話が一気に増えると書いた。映画製作者のジャスティン・ベイトマンは、AIの声がそこまで人間らしく聞こえる必要があるのかと疑問を投げかけた。聞いている側は、相手がAIだと気づけなくなる、というわけだ。

学習に使った声の出どころは、書かれていない

ここで、最初の問いに戻る。Blockのページには、学習に使った録音をどこから集めたのか、声の持ち主の許しを取ったのかが、書かれていない。TechCrunchやCoinDeskの報道も、そこには触れていない。技術報告書も論文も出ていない。AI専門メディアのimplicator.aiは、選んだ録音も学習データも安全性の主張も、外の人が確かめた形にはなっていないと書いた。

書類とペン
写真はイメージ Photo by Cytonn Photography on Unsplash

日本では、その8日前に動きがあった。10月15日、日本俳優連合が「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を出した。中身はこうだ。学習、生成、公開・利用のどの段階でも、声の持ち主に目的を伝えて、先に許しを得ること。AIが作った声を使うのは新しい形の実演だから、それに見合うお金を払うこと。亡くなった人の声をAIで作るなら、遺族から厳しく許しを得ること。

なぜ、団体が自分たちでルールを書いたのか。日本俳優連合は、理由をはっきり書いている。いまの日本には、人の「声」そのものをまとめて守る法律の条文が、ない。

次の視点

人口は減ったのに、
市税は13年ぶりの高さ

――室蘭市の2025年度決算

ジャンルを変えて「政治経済」から。いま読まれています 仏タレスが日本で迫撃砲生産へ 工場の町・室蘭の市税は13年ぶり140億円超

賞をくれなかったから、
もう来なくていい

――トランプ米大統領が、ノルウェーに

ジャンルを変えて「世界のニュース」から。いま読まれています トランプ氏に「外便所の国」と言われたノルウェー、なぜ怒らないのか

VIVANTの廃工場に、日本語の安全看板

TBS系『VIVANT』第21話/週刊女性PRIMEの報道

ジャンルを変えて「エンタメ」から。いま読まれています 『VIVANT』廃工場に日本語の看板?! 週刊女性PRIMEが報道、ジェット機2機は本当に飛んだ
出典

いま読まれている記事

  1. 1アクアの新型冷蔵庫が錆びて見えるのは、わざとだった
  2. 2=LOVEのチューハイ、売り場はアサヒのテスト販売サイト 前例は5時間で完売
  3. 3銚子のサバ加工、約2割が倒産や廃業 国産に替える道はあるのか
  4. 4Number_i札幌ドームの空席報道 一律1万1000円のSnow Manと比べていい?!
  5. 5「ランチは現金のみ」は規約違反? 手数料と利益率を計算してみた
← トップへ戻る