老後の積み立てを10年やめたAI研究者

『人類に10年はない』と見る米MIRI代表

10/28 11:04 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

「人類に10年はない」AI研究者が老後の積み立てをやめた だけど口座は残してある

アメリカのAI研究者が、老後のための積み立てを10年やめている。理由は「人類が10年もたないと思うから」だ。本気で言っている。

ネイト・ソアレス氏。カリフォルニア州バークレーにあるMIRI(機械知能研究所)の代表で、昔はグーグルとマイクロソフトのエンジニアだった。『If Anyone Builds It, Everyone Dies(誰かが作れば、全員死ぬ)』という本の共著者でもある。タイトルで全部言っている。

アトランティック誌のCEO、ニコラス・トンプソン氏のポッドキャスト「The Most Interesting Thing in AI」で、ソアレス氏は自分の401(k)の話をした。給料から老後のお金を積み立てる口座だ。

「私はいま、老後の貯蓄をしていない。グーグルで働いていたときの401(k)はあるが、10年間、入金していない」

「10年以内に人類がいなくなる確率は50%を超えるのか」と聞かれて、こう答えた。「いまの時点では、10年はもたない確率が50%を超えている、というのが私の見方だ」。さらに「私は『AIが仕事を奪う』派ではない。『AIが人類全員を殺す』派だ」とも話した。

ほかの研究者は10%

ここで、落ち着いて数字を見たい。「AIのゴッドファーザー」と呼ばれるジェフリー・ヒントン氏が挙げる確率は10%。AI企業Anthropicの研究者エヴァン・ヒュービンジャー氏は10%超。ランド研究所は、人類が滅びる筋道は否定できないが、起きるとしてもずっと先の時間軸の話だとまとめている。イーロン・マスク氏は逆で、AIで世の中が豊かになるから老後の貯金は意味がなくなると言う。お金の専門家の答えは、どちらに転んでも貯めておけ、である。

つまりソアレス氏の50%超は、業界の中でも強いほうの数字だ。話はここで終わりそうに見えるが、、、少し引くと別のことに気づく。AIは危ないと話す人は、いまとても多い。でも、そのせいで毎月の積み立てをやめたという話は、ほとんど聞かない。言っていることと家計が一致しているのは、ソアレス氏のような少数派だけなのである。

そして、その少数派にも抜け穴がある。ソアレス氏は口座を解約していない。グーグル時代の401(k)は、残高が増えないまま、いまも彼の名前で残っている。本人は「私はこの結末を止めるために、できることは全部やっている。避けられないとは思っていない」とも話している。10年分積み立てなかった人が、口座だけは閉じていない。

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