翼を平均したら、
何も見えなかった
――北海道大学などの研究グループが、38枚の羽を数えて
写真はイメージ Photo by Tina Hartung on Unsplash
ノゴマの風切羽を左右19枚ずつ数えた ダニは表と裏で多い羽が違った
北海道大学などの研究グループが、ノゴマという小鳥の翼を、羽1枚ずつに分けて調べた。風切羽は片方の翼で19枚、左右で38枚。その1枚ごとに、羽の上に住む2種類のウモウダニを数えた。
なぜ1枚ずつ数えるのか。翼をまとめて1つと見て平均すると、2種類のダニの関係がほとんど見えなくなるからだ。
表はこのダニ、裏はこのダニ
ノゴマの羽につくダニは、上面と下面で種類が違う。上面にいるのがTrouessartia calliope(トラウエッサルティア・カリオペ)、下面にいるのがProctophyllodes sp.(プロクトフィロデス属)。同じ1枚の羽の表と裏に、別の種が暮らしている。
そのうえ、羽の位置でも数が変わる。上面のダニは、翼の先のほうの羽にはほとんどいなかった。体に近い羽へ向かうほど増えていく。下面のダニも、位置によって増え方が違った。
北海道大学の発表によると、表と裏のダニの数の関係は、翼の先端から体側にかけて連続的に変わっていた。羽1枚ずつに区切ったから出てきた形で、翼全体の平均には現れない。
調べたノゴマは、石狩川の河口あたりで採集されたものだ。英語名はSiberian Rubythroat。ルビー色の喉、という意味の名前がついている。
大人の翼では出たが、子どもの翼では出なかった
同じ数え方を、幼鳥にもやっている。すると、位置に応じた表と裏の関係は、成鳥では見つかったのに、幼鳥では見つからなかった。
論文の見立てでは、幼鳥はダニが移ってきてから日が浅いらしい。群れができあがるだけの時間が、まだ経っていないのかもしれない、という話だ。
鳥1羽を小さな島だと思うと、羽の1枚1枚が島の中の別の場所になる。その場所ごとに、誰が多いかが入れ替わる。
で、鳥のほうは大丈夫なのか
ダニと聞けば、まずそこが気になる。北海道大学の発表に、ノゴマへの害についての記述はない。今回の出典では確かめられなかった。
ただ、ウモウダニそのものについては別の研究がある。2019年に学術誌Molecular Ecologyに出た論文は、顕微鏡で1,300個体、DNAで1,833個体のダニを調べた。主な食べ物は菌類と細菌だった。鳥の血や皮膚を食べているという証拠は見つかっていない。
この論文は、ウモウダニを片利共生、あるいは羽を掃除してくれる相利共生の相手だと結論づけている。長いあいだ寄生者として扱われてきた相手を、だ。寄生虫と呼ぶか、掃除屋と呼ぶか。そこは今も分かれている。
そして今回見つかった住み分けは、翼を平均した数字には出てこない。左右38枚に分けて数えたから、見えた。
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うちのサイトも
止まるんですか
――止め方は、会社によって分かれた
- ノゴマの風切羽1枚ごとのウモウダニ分布(北海道大学 プレスリリース、2026年10月23日)
- Continuous and asymmetric dorsal–ventral abundance associations along the wing in feather mite communities(論文紹介記事)
- Feather mites play a role in cleaning host feathers: New insights from DNA metabarcoding and microscopy(Doña et al., Molecular Ecology, 2019)