データセンターは、
もう許可しない

――テキサス州知事選で勝ったヒノホサ氏が、選挙中に

写真はイメージ Photo by İsmail Enes Ayhan on Unsplash

11/6 18:21 / 発信国:アメリカ / 記者:ミヤムー

ビッグテックはなぜトランプに擦り寄ったのか 米株から1日で395兆円消えた

11月3日に投開票されたアメリカの中間選挙で、民主党が上下両院の多数派を取り返した。上院は民主54議席、共和44議席。その夜、ジョージア州で再選したオソフ上院議員は、大手の製薬と保険、そしてビッグテックを「屈服させる」と演説で言った。2日後の11月5日、米株式市場から1日で約2兆5,000億ドル(約395兆円)が消えた。

ただ、投資家が売った理由は、この演説ではなかった。

395兆円の引き金は、テキサス州知事選だった

同じ選挙で、テキサス州知事選が大番狂わせになった。共和党のベテラン現職アボット氏が負け、民主党のジーナ・ヒノホサ氏が勝った。ヒノホサ氏は選挙中、「知事になったら、テキサス州民を守る法律が議会で通るまで、データセンターの認可をすべて止める」と言っていた。

これが、投資家の怖がった点だ。ウェルズ・ファーゴの集計では、アメリカで計画中のデータセンターの電力のうち、約27%がテキサス州に置かれる予定だった。アナリストのダン・アイブス氏はCNBCに「中間選挙は、全米のデータセンター建設のペースを遅くする」と話した。

売りは、データセンターの周りから出た。11月4日はテスラが5%安、スペースXとコアウィーブが4%安。それが翌5日に広がり、ナスダック総合が5.52%安、半導体株のSOX指数が12.3%安、エヌビディアが9.3%安。マスク氏は「宇宙のデータセンターが、いまはなかなか良さそうに見える」と書いた。

AIとデータセンターは、もともと選挙の争点だった。NBCの出口調査では、議会の投票先を決めるうえでこの2つが「重要」または「主要因」だったと、有権者の56%が答えている。

では、なぜトランプ政権に寄ったのか

州ごとのAI規制を、止めてほしかったからだ。

2025年12月11日、トランプ大統領はAIについての国の方針を決める大統領令に署名した。司法長官にAI訴訟タスクフォースを作らせ、州のAI法を裁判で争わせる中身だ。州議会に1,000件を超えるAI法案が出ていて、「50州それぞれの規制」を避けたい、中国との競争に負けられない、というのがホワイトハウスの説明だった。

で、いくら出したのか。市民団体イシュー・ワンの集計では、大手7社のロビー活動費は2025年1〜9月で5,000万ドル(約79億円)。AI推進派のスーパーPAC「Leading the Future」は1億ドル超(約158億円)で発足した。マスク氏は今回の選挙サイクルで4億4,600万ドル(約700億円)を出し、うち1億6,800万ドル(約265億円)をテキサス州のケン・パクストン氏に投じた。だが、パクストン氏は民主党のタラリコ氏に大敗した。

日本の積立に回ってきた分

11月6日の東京市場は、日経平均の終値が3,643円13銭安の5万7,434円77銭。下落幅は過去3番目で、東証の33業種がすべて下がった。デイリースポーツは、AI向けデータセンターの建設が停滞するとの不安が広がったと書いている。

株価のチャートが表示された画面
写真はイメージ Photo by Anne Nygård on Unsplash

NISAで人気のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、11月5日時点で純資産総額が13兆2,012億円。S&P500に連動する投資信託だから、米国株の下げはそのあとの基準価額に出てくる。月1万円ずつ積み立てている人の口座にも、テキサス州知事選の結果が回ってくる。

ただ、11月6日の時点で、民主党がどんな規制を出すのかは決まっていない。両院を取っても、大統領の拒否権を乗り越えるには共和党議員の賛成が必要だ。

ネットの評判

はてなブックマークでは、この話題に189件のブックマークが付いた(11月6日時点)。「メタやXなどのSNSは一回きっちりと締めるべきかもね」という声があり、標的になるのはマスク氏だろうという見方も並ぶ。

一方で「AIは中国との覇権争いを考えたら触りにくいのでは」という指摘や、締め上げに力を入れすぎると民主党が支持を失う、という見方もあった。批判されているのはトランプ政権に擦り寄った企業で、IT業界全体ではない、と整理するコメントも付いていた。

そして、株を売らせたテキサス州の認可停止は、あの大統領令では止められない。州のAI法を封じ込める大統領令は、データセンターに関する州の法律を、初めから対象の外に置いていた。

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