スマートグラス、フタがあっても盗撮は不安

――それでも、初回分はもう予約で埋まった

11/6 18:13 / 発信国:アメリカ / 記者:ミヤムー

Raven Prism 1はカメラにフタ 23.8万円で盗撮の不安は消える?

カメラにフタをかぶせた。アメリカのRaven Resonanceが10月29日に予約を始めたスマートグラス「Raven Prism 1」は、本体が1,499ドル(約23.8万円)、予約金は49ドル(約7,800円、全額返金できる)。1300万画素のカメラには物理的なフタが付いていて、公式サイトはこう書いている。「使うには、カメラカバーを手で外す必要がある」。

フタとライトで、撮っていないことを見せる

Raven Prism 1は、スマホにつながなくても単体で動く。中身はARMの4コアチップと、Linuxをもとにした自社のRaven OSだ。表示は右目側だけで、腕を伸ばした先に16インチのモニターがあるくらいの大きさになる。つるに付く電池はホットスワップに対応し、度付きレンズは-4.5〜+4.5まで作れる。

なぜフタなのか。公式サイトの言い方は、はっきりしている。「カメラを使うかどうかは、カバーを物理的に動かすことで、あなたが選ぶ」。フタを外すと、今度は「Beakon Lights」というライトがリムで光り、カメラが動いていることを周りに知らせる。CEOのThomas Suarezは発表で「Raven Prism is not a pair of smart glasses: it is a powerful, privacy-first eye-controlled Linux computer」と話した。スマートグラスではなく、プライバシーを最優先にした、視線で操るLinuxのパソコンだという。

実機を触った反応も、おおむね好意的だ。XR専門のブログ「The Ghost Howls」は8月、Raven Resonanceのプライバシーへの本気度を評価し、磁石で付くこのフタを「撮っていないことを、だれにでも物理的に見せられる」と書いた。

向かい合う人の「見られている感じ」は残る

では、メガネを向けられた側はどうか。

CHI 2026に採択された研究が、数字を出している。中国で525人に聞いた調査と、20組の面接をまとめたものだ。プライバシーが気になる場面では、周りにいる人の65〜90%が、何らかの防御行動を取るつもりだと答えた。研究者は、周囲の人が求める透明性と、かける人が受け入れる透明性の間に差があると書いている。フタとライトは「いま撮っていない」を示す道具で、「こっちを見ているかもしれない」という感覚そのものを消す道具ではない。

ほかの会社の例も、背景にある。ドイツのheiseは、Metaの警告ライトは見せかけにすぎず、簡単に回避できると書いた。フタという解き方は、その不信の上に立っている。

ネットの評判

まだ大きくは騒がれていない。英語圏のニュースサイトNew Atlasのコメント欄には11月3日、書き込みが1件ついた。カメラ付きメガネは出入り禁止になる場所が増えていて、フタがあるだけでは足りない、という内容だ。開発者向けのdaily.devに載った紹介記事は、支持が4件、コメントは「バッテリーはどれだけ持つのか」の1件だけ。いまのところ、盗撮の話よりも、値段と電池の持ちを気にする声のほうが目立つ。

そのフタについて、The Ghost Howlsの記者は注文も付けている。小さすぎてなくしやすいので、将来はスライド式のほうがいいのではないか、と。

初回出荷は2027年1月。早いロットはもう予約で埋まり、新しく予約すると2027年夏の分になる。売るのは当面アメリカ国内だけで、11月6日の時点で、日本で売る話は出ていない。手で外す小さなフタが1枚付いた23.8万円のメガネは、もう売り切れ始めている。

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