まだ9割使えるのに、
捨てるんだ
――EDENenergyの創業者が、350個を測ってみて
写真はイメージ Photo by Kumpan Electric on Unsplash
電動スクーターの電池を蓄電池に再利用 安全はどうなの?
ドイツの新興企業EDENenergyが、使い終わった電動スクーターの電池112個をつないだ蓄電池を、2026年10月中旬に初めての客へ納めた。容量は70キロワット時。親元のフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ISE)によると、ドイツでは電動アシスト自転車と電動スクーターの電池が、年に約100万個も捨てられている。
で、その捨てられる電池。どれくらい弱っているのか。
EDENenergyは約350個を測った。想定は「新品の8割くらい残っていれば使える」。ところが実際には、残量が平均で9割を大きく超えるものもあった。まだ減っていない電池が、まとめて捨てられていた。
分解しないでつなぐ
つくったのは、ISEの元研究者3人。使ったのは、ISEで開発された電力制御の装置だ。種類の違う電池を、分解せずにつないで、それぞれのモジュールと通信できるのがみそだという。
モジュールは1つずつ監視でき、動かしたまま交換できる。だからこの会社は「10年たっても70キロワット時」と言う。ISEによれば、普通の蓄電池メーカーが10年後に保証するのは容量の8割だ。
狙う客は、屋根に太陽光パネルはあるのに蓄電池がない中堅企業や、地元の電力会社。自家消費、使用量の山をならす調整、電力の売買に使う。
「中古の電池」を心配する側の言い分
東京消防庁によると、2025年に都内で起きたリチウムイオン電池が原因の火災は382件で、過去最多だった。モバイルバッテリーが130件、電動アシスト付自転車が25件。新品でも燃えている。中古を112個まとめて1か所に置くと聞いて身構える人がいるのは、この数字の実感からだろう。
EDENenergyは、モジュールを個別に監視して熱暴走を早く止める仕組みで特許を出していると、自社の紹介ページで説明している。ただ、第三者の認証を取ったかどうかは、ISEの発表にもドイツの各報道にも書かれていなかった。
規格の側は追いついていない。北米には中古電池を組み直すときのUL 1974という規格があるが、対象は電気自動車や大型の電池。小さな乗り物の電池は手つかずだった。EU電池規則では2027年2月18日から、2キロワット時を超える産業用の電池に「電池パスポート」が義務になる。中身や状態をたどれる仕組みだ。逆に言えば、いま回っている中古の電池には、それがない。
日本の大手は、自分の敷地で試している
オムロン ソーシアルソリューションズとホンダは、2026年1月から7月まで、Honda熊本製作所の構内で実証をした。交換式電池「Honda Mobile Power Pack e:」を12個まとめたシステムを4つ作り、うち1つに使用済みの電池を入れて新品と比べた。ヤマハ発動機は2024年8月から、ゴルフカーで使った電池2個を蓄電池にして、太陽光パネル付きのコンテナで社用の電動アシスト自転車を充電している。
どちらも場所は、自分の会社の中だ。
2026年11月6日の時点で、EDENenergyは納入先の企業名も、蓄電池の値段も公表していない。ドイツで年に捨てられる約100万個のうち、1台の蓄電池になったのは112個。残りの行き先は、まだ決まっていない。
のどかな場所なんだから、
もう勘弁してほしい
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- Startup EDENenergy: Used E-Scooter Batteries Become Industrial Energy Storage System(フラウンホーファーISE)
- Home - EDENenergy(当事者の公式サイト)
- EDENenergy GmbH(企業紹介。特許出願中の安全の仕組み)
- Start-Up EDENenergy: Gebrauchte E-Scooter-Akkus werden Industriespeicher(chemie.de)
- Second-Life-Batteriespeicher für Gewerbe aus E-Scooter-Akkus(i-magazin)
- This Startup Is Turning Used E-Bike Batteries Into Affordable Energy Storage(InsideEVs)
- 電動スクーターのバッテリーが企業の蓄電池に(ギズモード・ジャパン)
- Europäische Batterieverordnung (EU) 2023/1542(ドイツ連邦環境省)
- Batteries: Repurpose, Rebuild, and Remanufacture Certification(Intertek。UL 1974の説明)
- リチウムイオン電池火災、過去最多の382件 東京消防庁(JCプレス)
- オムロン、Hondaの交換式バッテリーを活用した蓄電システムの実証実験を開始(PR TIMES)
- 使用済みバッテリーを電動アシスト自転車用充電ステーションに再利用する実証を展開(ヤマハ発動機)
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