子羊『パブロ』と約270万円の麻薬

スコットランドの裁判。子羊は後部座席でチップスを食べていた

11/5 13:35 / 発信国:イギリス / 記者:工藤

スコットランドの子羊『パブロ』と約270万円の麻薬 実刑なしの判決の理由

スコットランドのグラスゴー州裁判所は2026年11月2日、コカインとヘロインを車に積んでいたジョン・マクニール(56)に、実刑なしの判決を出した。薬物は合わせて14,050ポンド(約270万円)分。そして後部座席には、生きた子羊が座っていた。名前はパブロ。。。

子羊は、座席に置いてあったチップス(フライドポテト)を食べていた。2023年4月22日の午後6時10分、グラスゴーの高速道路M74で警察が車を止めたときの話だ。子羊のことを聞かれたマクニールは、運転していたリンジー・サングスター(41)のことを「見習いの羊飼い」だと答えた。車を止めた巡査部長が、法廷でそう話した(訳)。名前は、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルから取ったものだ。

笑っていられたのは、ここまでだった。警察犬のビリーが、助手席の下から袋を見つけた。コカインが4,640ポンド分(純度は最低76%)、ヘロインが10,050ポンド分。どちらもイギリスで最も重いクラスAの薬物だ。2人は薬物を知らなかったと主張したが、2026年9月、売る目的の所持で有罪になった。

なぜ実刑なしだったのか

罪の重さを言ったのは、裁判官のトニー・ケリー本人だった。「あなたには複数の前科があり、これらの罪が収監に値するほど重いことは理解しているはずだ」(訳)。そのうえで、「事柄の古さを考えて、収監を科すことから一歩引く」と述べた(訳)。事件は2023年4月で、判決までに3年半が過ぎていた。最近の犯罪はなく、再犯の可能性は「低い」とされた。弁護人のブロンウィン・ムーアは、マクニールが当時、薬物の乱用にあおられて「極度に混乱した暮らし」を送っていたと認めている、と話した(訳)。言い渡されたのは、無償労働300時間と、6か月の電子タグだ。

サングスターは、薬物の影響下での運転を認め、無償労働100時間と18か月の運転禁止を受けたと報じられている。判決の日には出廷せず、逮捕状が出た。11月4日の時点で、その後の動きは確かめられていない。

子羊パブロはどうなった

パブロは、マザーウェルの農場の子羊だった。農場主のカースティ・メアは、持っていく許可は出していないと述べた。マクニールは、道の真ん中にいた子羊を助けようとしたと主張した。子羊は脱水しているように見えた、とも述べた。ただ、その子羊は後部座席でチップスを食べていた。警察は、その主張に裏付けはないとした。持ち去りの罪は、当時盗難の届けがなく、取り下げられた。

スコットランドの農場にいる子羊
写真はイメージ Photo by Milada Vigerova on Unsplash

パブロは48〜72時間ほど預かられ、農場に帰った。メアは、こう言った。「この話の教訓は、子羊には早めにタグを付けたほうがいい、ということかもしれない」(訳)。

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