警報が鳴ったけど、これ
本物なのかな?

――キーウの住民は、まずテレグラムで確かめた

11/4 11:03 / 発信国:ウクライナ・ロシア / 記者:宮村

ウクライナとロシアの警報アプリ、同じ夜に乗っ取られて偽の核警報が流れた

11月1日の日曜、夜10時47分ごろ。ウクライナの空襲警報アプリ「Повітряна тривога(空襲警報)」が、放射線の危険、化学兵器の脅威、キーウでの市街戦、核の脅威を一斉に知らせた。全部、嘘だった。ウクライナ空軍は10分ほどで「アプリが敵の干渉を受けたようだ。放射線の危険はない」と打ち消した。

通知の一部はロシア語で、つづりも文法も崩れていた。ウクライナの公式な発信はウクライナ語が決まりなので、そこで気づいた人もいる。「やあ! ウクライナ全土に核警報が出る。心配するな、オレシニクが向かっている」という文面もあった(和訳)。開発元のAjax SystemsとStfalconは「第三者がアプリに干渉した」として、プッシュ通知を切り、アプリを止めた。通知には見慣れないテレグラムへのリンクも混ざり、フィッシングの疑いがあった。各地の当局が「リンクを押すな」と呼びかけた。サイレンと、キーウ市が別に出しているアプリは、そのまま動いていた。

4時間後、ロシアのアプリも鳴った

モスクワ時間の深夜2時45分ごろ、今度はロシア非常事態省のアプリが「大規模なサイバー攻撃」を受けた。89の地域のうち33地域に、「核弾頭がロシア全土に向けて発射された」「3週間分の食料をためろ」「地下室に避難せよ」という偽の通知が届いた。省は、管理画面の弱いところを突かれたと説明し、関係するサービスを切り離した。そのうえで、このアプリは「補助的な情報源」だと言い添えた。

空を背にした警報用サイレンの塔
写真はイメージ 撮影 PattayaPatrol/CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ)

ネットの評判

ウクライナのSNSでは、笑いのほうが先に立った。キーウの丘「シチェカヴィツァ」のミームが、また出回った。核戦争になったらそこへ登る、という冗談で知られる丘だ。「誰も騙されなかった、ロシアの失敗だ」という受け取り方が目立つ。報道によると、キーウの住民の多くは通知を見てすぐテレグラムの公式チャンネルを開き、偽物だと確かめていた。ある住民は「すぐに、偽の通知かもしれないと分かった」と話している。

ここからは見方になるが、気になるのはその「確かめた」という手順だ。鳴ったら、まず本物か確かめる。それが作法になったのなら、次に本物が鳴ったときに消える数十秒のほうが怖い。BBCのラジオに答えたキーウの住民は「停電や、暖房と水道が止まるのには備えている。でも核攻撃には備えていない」と話した。

分かっていないこと

誰がやったのかは、はっきりしない。ウクライナ側への攻撃については、ロシアのテレグラムチャンネルでHitcoreというグループが名乗ったが、裏は取れていない。ロシア側のアプリについてはAteshが名乗った。ウクライナ政府の戦略広報センターは、ロシアの仕業だとしている。

国家非常事態庁は、日付が変わるころに、ウクライナのアプリが「通常の動作に戻った」と発表した。残っているのは入口の話だ。どちらの政府も、アプリのどこからどう入られたのかを、まだ公表していない。

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