3カ国の街頭LED看板が、同時に乗っ取られた

犯行を名乗る側は『脳細胞が2つあれば誰でもできた』

写真はイメージ Photo by Tal Molcho on Unsplash

11/4 11:01 / 発信国:エジプト、マレーシア、ブラジル / 記者:宮村

3カ国のLED看板が同時に乗っ取られ、頭を下げたのは現場の会社だった

2026年10月29日、エジプト・ギザの幹線道路「7月26日軸」に立つ大型のLED広告看板に、成人向けの映像が流れた。映像はSNSに広まって、大きな騒ぎになった。同じころ、マレーシア・クルアンの公共の画面でも、ブラジルの看板でも、同じことが起きていた。

犯行を名乗るグループは「脳細胞が2つあれば誰でもできた」と話した。原文は「anyone with two brain cells」。ニュースは世界を回った。が、、、笑っていない人たちがいる。

画面を止めて謝ったのは、現場だった

マレーシアのクルアン市議会は、気づいてすぐ全部の画面を消した。業者と原因を調べ、警察に届け、クルアンの住民に迷惑をかけ、不快な思いをさせたとおわびしている。エジプトの広告会社アル・アラビア・ユナイテッドは、知らない相手が画面に不正にアクセスしたのを見つけたと説明し、画面を落として当局と調べている。エジプト内務省も、サイバー攻撃だったと認めた。ブラジルの会社も画面を止め、警察に届けて謝った。

グループの言い分は、こうだ。狙ったのは1枚1枚の看板ではなく、映像を画面へ送るソフトの弱いところだった。自動スキャンを2時間回しただけで、無防備なシステムが数千台見つかったという。企業は国をまたぐ設備に何百万も払うのに、LED画面と広告のネットワークは基本的な守りもないままネットにつながれている、とも書いている。

この言い分は、たぶん当たっている。研究者はこれまでも、同じような事故の原因として、管理者の初期パスワードを変えていないことと、設定の甘さを挙げてきた。日本でも、業界団体のデジタルサイネージコンソーシアムが2024年7月26日に点検ガイドを出し、「不正なコンテンツの挿入」をリスクの一つに挙げている。

では、だれが損をするのか。2023年8月、バグダッドの広場の画面で同じことが起きたとき、イラク当局は容疑者を1人つかまえ、そのうえでバグダッドの電子看板を全部消した。1枚の看板の事故で、街の画面がまとめて止まったわけだ。

「誰でもできた」と言った側は、名前を伏せたままだ。頭を下げたのは、看板を貸していた会社である。

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