44億円の当選者名が『ミスター・ポテトヘッド』

米マサチューセッツ州、宝くじ史上最高額の公開記録

11/4 10:58 / 発信国:アメリカ / 記者:宮村

44億円の宝くじ当選者は「ミスター・ポテトヘッド信託」 本名を知るのは州だけ

アメリカ・マサチューセッツ州の宝くじで、2971万ドル(約44億円)という史上最高額の当選者が名乗り出た。名前は「ミスター・ポテトヘッド信託」。顔のパーツを差し替えて遊ぶ、あのジャガイモのおもちゃである。。。

抽選は2026年9月7日。2ドル(約300円)の券が、ホリヨークという町のキングマートで売れた。州の宝くじは、この店に5万ドル(約750万円)のボーナスを出す。賞金の受け取りは10月28日だった。一括払いを選び、税引き前で1963万5669ドル(約29億円)を手にした。ゲームは1982年に始まった「メガバックス」。これまでの最高は1985年の2171万4520ドル(約32億円)だった。41年ぶりの記録更新だ。

なぜポテトヘッドなのか。信託の手続きをした弁護士のハイマン・ダーリング氏が説明した。当選者に、ミスター・ポテトヘッドを思い出させる知り合いがいた。その人にちなんで名づけたのだという。本人ではなく、知り合いが、ジャガイモに似ている。どの報道も、記録より先にこの由来を聞いている。

州法は「名前は公開」と決めている

マサチューセッツ州では、当選者の名前、住む市や町、写真、賞金額、受け取った日、ゲーム名が公開記録になる。匿名は認められていない。

それでも名前が出ないのは、信託で受け取ったからだ。公開されるのは、信託の名前と、代わりに受け取った人の名前だけになる。

笑っている人の横で、怒っている人もいる。宝くじの売り上げは公共の事業に回る。だから「誰が受け取ったのかは公開すべきだ」という声は、アメリカで前からある。2013年、ニュージャージー州のクリスティー知事は、1年間の匿名を認める法案に拒否権を使った。理由はこうだ。「この法案は、宝くじとそのゲームの公正さに対する納税者の信頼を支えている透明性を、損ないかねない」(訳)

州は、知っている

では、ポテトヘッドの中身は誰にも分からないのか。そうではない。州の宝くじの広報担当クリスチャン・テハ氏は、信託で受け取る仕組みをこう説明している。「秘密なのは、公衆に対してだけ」(訳)。宝くじ側は、信託に関わる人の名前を、全員分出させる。州税や養育費などの滞納があれば、賞金から差し引かれる。知らないのは、私たちだけだ。

匿名を正面から認めるはずだった州の法案は、2025年6月に公聴会が開かれたあと、同年10月30日に「調査」へ回された。要は、止まった。正面の扉は閉まったまま、信託という裏口だけが開いている。

州の公開記録に残る史上最高額の当選者の名前は、ミスター・ポテトヘッド信託である。

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