テレビで見たのと、
全然違うんだけど

――現地に50年住む記者が、日本の報道に

11/3 19:33 / 発信国:フランス / 記者:宮村

仏55万人デモ「暴徒化」って本当? 現地50年の日本人記者が反論

フランスに50年以上住むジャーナリストの広岡裕児氏が、10月31日公開のデイリー新潮のインタビューで、日本の報道を正面から否定した。10月17日にフランス全土で起きた55万人規模のデモの伝え方だ。「デモが暴徒化した、という報道が間違っているのです」「デモと暴動は全く別の現象」。日本で見たニュースと、だいぶ違う気がしないだろうか。

55万人のうち、拘束は2,397人

フランス内務省の発表では、17日の参加者は全国で約55万人。パリで約11万人。呼びかけた側は80万人と言う。治安部隊は6万人が動いた。

一方、拘束は全国で2,397人。警官や憲兵の負傷は997人。中部リモージュでは市庁舎が放火され、ほぼ全焼した。パリのデモ行列の近くでは、体調を崩した参加者1人が亡くなっている。

55万人に対する2,397人は、0.5%に届かない。全校生徒500人の学校で2人、という割合だ。広岡氏は、略奪に集まったのは「スラム化した問題のある地区に住む主に若い世代」で、「リーダーがいるわけでも組織化されているわけでもない」と話す。デモを呼びかけたのは黄色いベスト運動や労組のCGT、高校生や学生の団体で、略奪に集まった人たちとは別だという見方だ。

日本の見出しは「暴徒化」

共同通信は「仏で55万人デモ、暴動や放火 物価高や教育巡り、市庁舎全焼」と伝えた。TBSは「一部が暴徒化し治安部隊と衝突」。フランスの首相も、暴力は極左勢力によるものだと指摘している。広岡氏の見方は、こうした報道や首相の指摘とは逆を向く。「テレビは派手な場面の映像をことさら強調するでしょう」とも話した。デモが掲げていたのは物価とガソリン代、公共サービス、それに進学先を決めるParcoursupの廃止などだ。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄には1,103件が付いた。票を集めたのは、広岡氏の見方への批判のほうだ。「デモが起こっているその時間・その場所で暴動及び略奪が起きているのだから、一連の事象」という声や、略奪が何度も起きるフランスの社会問題のほうを見るべきだという意見が並ぶ。一方で、海外で暮らした人からは、日本の報道は「極端なステレオタイプ」だという声も出ている。

分かっていないこともある。拘束された2,397人のうち、何人がデモの行列にいたのかという内訳だ。それが出れば、どちらの見方が実態に近いかが見える。

次の視点

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