これ、とんかつ
じゃないでしょ
――薄くて平たくて、皿いっぱい
写真はイメージ Photo by Charles Chen on Unsplash
「直径17センチ以上」の韓国式王トンカツ、価格と材料をかつやと比べてみた
韓国でとんかつが「現地化」して根づいている、という投稿がXで広まりました。まとめサイトのトゥギャッターにまとめられ、はてなブックマークの「暮らし」カテゴリーでも上位に入っています。
発端の投稿は「韓国でトンカツが現地化して根付いてるなんて、普通の日本人は知らないよ…外国人観光客の行く店のメニューにない」というもの。返信欄には、韓国式トンカツの画像が次々と集まりました。
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集まった画像は、確かに日本のとんかつとは別物に見えます。薄くて平たくて、皿いっぱい。茶色いソースが最初からかかっています。
ただ、見た目が違うだけで「安く済ませた簡易版」と決めてよいのでしょうか。筆者は、韓国と日本のチェーン店の公式メニューを開いて、価格と材料の表記を並べて計算してみました。
韓国式トンカツとは
韓国語版ウィキペディアの「돈가스(韓国料理)」の項目では、韓国式トンカツは「薄くて広い形」で、日本式の調理法ではなくポークカトレツに近い薄い揚げ物として定着したと説明されています。
韓国に入ったのは日本統治期ですが、韓国料理として根づいたのは、경양식の店が増えた1960年代以降。肉をたたいて広げれば大きな皿が埋まり、豪勢に見える、という理由も挙がっています。
食べ方も違います。ソースは別添えではなく、あらかじめ皿にかけて出す店が一般的。スープが付き、ご飯とキムチが添えられます。ナイフとフォークで自分で切ります。大きいものは왕돈가스(王トンカツ)と呼ばれます。
まとめの中では、韓国在住という人が「韓国人が思い浮かべるのは경양식のトンカツで、日本式は日本料理店に行くと出てくる」と説明していました。別の人は、粉食店レベル、경양식レストラン、安くて量の多い왕돈까스、日本食店の高級版、という4つの層に分けて紹介しています。
「現地化したほうは今では懐かしい食べ物で、韓国では今は日本式のほうが人気」という声もありました。
公式メニューの価格を計算してみた
韓国の弁当チェーン「한솥(ハンソッ)」の公式サイトを開いてみます。
目を引いたのは「1993 왕돈까스」。公式の沿革に2022年の新メニューとして載っているもので、商品名の1993は1号店の創業年です。発売を伝えた韓国の記事によると、価格は9,300ウォンで、直径は17センチ以上。100%国内産の豚ロースの塊を使い、揚げ衣は生パン粉。特製のデミグラスソースに、ミニカクテキ、コーンサラダ、오복채(オボクチェ)という漬物が付きます。
現在のメニューも並べてみます。トンカツカレーが5,100ウォンで703キロカロリー。王カレートンカツ丼が6,700ウォンで、ご飯は大盛りの300グラム、938キロカロリー。半月型のトンカツとハンバーグステーキ、チキンのから揚げ、キムチを詰めた「모둠 돈까스도련님」が5,200ウォンで834キロカロリー。おかず単品のトンカツが2,900ウォンで214キロカロリーです。
原産地の表記は、どれも豚肉(国産)。薄さのぶん肉を安く済ませている様子は、公式の表記からは読み取れませんでした。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが公表している2026年10月1日のレートは、韓国ウォン100ウォンあたり売値11.80円、買値11.40円です。これで換算すると、9,300ウォンは約1,060円から1,100円になります。
日本側はどうでしょう。かつやの公式メニューでは、ロースカツ定食が913円(税込み)、カツ丼(梅)が682円、ヒレカツ定食が1,056円です。
つまり、韓国の弁当チェーンの王トンカツ1食は、日本のとんかつチェーンのロースカツ定食より高い計算になります。
もう一つ気になったのは、公式が自慢している点がずれていることです。韓国側は「直径17センチ以上」と面積で売る。日本側は「ロース」「ヒレ」「ダブル」と、部位と枚数で売る。同じ揚げた豚肉なのに、公式サイトが数字を出す軸が違います。
数字を並べてみて筆者が意外だったのは、薄さが安さと結びついていなかったことでした。
ネットの評判
はてなブックマークでは、筆者が確認した時点で60人がブックマークしていました。
多いのは面白がる声です。「うまそう。現地化した料理というのも興味深いね」「面白いね。海外の食物事情とか楽しい」「日本で食べられるとこないかな」。キムチやチーズを合わせた一皿に触れて、「チーズが入っているキムチカツ鍋なんて日本でも絶対流行るじゃん?」「トンカツチゲ鍋うまそう!」と書いている人もいました。
一方で、警戒する声も並びます。「そしていつの間にかトンカツは韓国料理って言い出すんでしょ?」「『とんかつの起源は韓国』と言いだしそう」。付け合わせへの違和感として「握り寿司の横にらっきょう置かれるのなかなか抵抗ある」という声もありました。
「細かいパン粉に薄く伸ばした肉は明治大正期の特徴を残している」と、昔の日本式が残った形だと見るコメントや、「韓国行ったことあれば知ってるだろうけど、そもそも海外旅行に行く人が少数派」という指摘もありました。
まとめ
公式の表記をたどってみると、韓国式トンカツは「薄くした日本のとんかつ」ではなく、面積とソースと付け合わせで別に組み立てられた一皿でした。値段も、日本のロースカツ定食より高くつきます。
これを同じ「とんかつ」と呼ぶか、別の料理として別の名前で呼ぶか。読者の皆さんは、どちらでしょうか。
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- 韓国でトンカツが現地化して根付いてるなんて、普通の日本人は知らないよ…外国人観光客の行く店のメニューにない→続々と韓国式トンカツの画像が集まってきた(トゥギャッター)
- はてなブックマーク(上記まとめのブックマークとコメント)
- 돈가스 (한국 요리)(韓国語版ウィキペディア)
- 한솥 公式メニュー 왕카레돈까스덮밥
- 한솥 公式メニュー 돈까스 카레
- 한솥 公式メニュー 모둠 돈까스도련님
- 한솥 公式メニュー 반찬 돈까스
- 한솥 公式サイト 연혁(沿革)
- 한솥, 5월 신메뉴 '1993 왕돈까스' 출시(싱글리스트)
- かつや 公式メニュー
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 外国為替相場(2026年10月1日)