メニュー、
これしかないんですか
――ある客が、63年続く店で
「一品しかない」博多の店が歌舞伎町へ 本店と新宿店を比べてみた
昭和38年(1963年)創業、博多の「びっくり亭本家」が、2026年10月31日に東京・新宿の歌舞伎町でグランドオープンしました。東京への出店はこれが初めてです。
63年間、この店が出してきたメニューは一品だけ。豚肉とキャベツを鉄板で炒め、秘伝の辛味噌で食べる「焼肉鉄板」です。プレスリリースの言葉は「一品しかない。一品でいい。」です。これを同社は「ただメニューが一品ということではなく、一品を極め続けるという、私たちの誇りです」と説明しています。
福岡の店舗の焼肉鉄板を映した動画がこちらです。
鉄板を傾けて食べる一品
プレスリリースは、食べ方をこう書いています。「鉄板を斜めに傾ける。すると、豚肉とキャベツの旨みが溶け込んだ油が鉄板の片側に集まります。そこに秘伝の辛味噌を溶かし」。辛味噌の量は好みに合わせて調整できるとしています。
つまり客がやることは、肉の量を決めて、あとは鉄板の上で自分で味を作ること。それだけです。
本店と新宿店を比べてみた
公式サイトに出ている両店の情報を並べます。
博多の本店は福岡市博多区寿町2-8-12、営業時間は11:15〜23:30(ラストオーダー23:00)、定休日は第3木曜日です。
新宿店は新宿区歌舞伎町1-24-6の2階(プレスリリースの表記では「鶴切ビル2F」)、営業時間は11:00〜23:00(ラストオーダー22:30)、公式サイトの定休日は「なし」です。ただしプレスリリースには「毎週木曜日:15:00〜17:00は中休み」と書かれています。
筆者が気になったのは、閉店時間でした。新宿店のラストオーダーは22:30で、本店より30分早い。歌舞伎町は深夜に動く街ですが、飲んだあとの締めに、という使い方はできない時間設定です。
1週間で店を開けている時間を計算すると、本店が約86時間、新宿店が82時間。ほぼ同じでした。違うのは休み方で、本店は月に1日まるごと閉め、新宿店は1日も閉めずに木曜だけ2時間中断する形です。
値段を計算してみた
公式サイトのメニューは、焼肉1枚950円、1.5枚1,350円、ダブル(2枚)1,800円、トリプル(3枚)2,750円。ごはんは小200円、中250円、大350円、生ビール600円です(いずれも税込み表示)。なお公式サイトには「※価格は店舗によって異なります」と注記があり、新宿店の価格は公表されていません。
1枚あたりに割ると、1枚で950円、1.5枚で900円、ダブルで900円、トリプルで約917円。一番割安なのは1.5枚とダブルで、3枚にすると単価はわずかに上がります。たくさん頼めば安くなる、という作りではありませんでした。
焼肉1枚とごはん中で1,200円。新宿のランチとしては、高くはない水準だと思います。
ネットの評判
プレスリリースははてなブックマークの人気エントリーに入り、24件のブックマークに8件のコメントが付きました。「この鉄板食ったことあるけど美味かったの覚えてる 行きたい」「行ってみる予定」と、福岡で食べた人の期待が目立ちます。「密着動画みて食べてみたくなったやつだ」という声もありました。
一方で「食べてみたいけど新宿かあ」と立地にためらう声や、「地方から人も企業も東京目指すんだな」と一歩引いた見方もあります。Xには「福岡のびっくり亭本家が歌舞伎町に?地図みたら、西武新宿駅真横の付近らしい」という投稿が出ていました。
「選べない」という声
一品に絞る方式は、店にとっては仕込みも回転も効率がいいはずです。63年続いたこと自体が、その強さを示しています。
ただ、口コミを読むと、初めての人の戸惑いははっきり残っています。口コミサイト「エキテン」の本店のページ(25件、平均4.28)には、「何人前食べる?って焼肉で何人前と言われても…???どんなんだかわからない」という書き込みがありました。選ぶ余地がないというより、選び方が分からないのです。
量と脂についても「油の量もすごかった」「女子にはあんまり食べると大変なことになりそ・・」(原文ママ)「デートで行くには厳しいかもねー!」という声が並びます。
歌舞伎町は、初めての客や観光客が多い場所です。そこに、頼み方を知らないと戸惑う一品だけの店を出す。筆者は、効率の良さと引き換えに、一番人の多い場所で、一番説明が必要な店になる面があると感じました。前菜もサラダも締めの麺もない構成だと、何人かで入るときは「ここでいい?」の一言が先に必要になります。
まとめ
63年間メニューを増やさなかった店が、東京で最初に選んだ場所は歌舞伎町でした。公式に確かめられるのは、焼肉1枚950円という値段(店舗により異なる)、11:00〜23:00の営業時間、選べるのは肉の枚数だけという構成です。
一品に絞るのは、店の覚悟でもあり、客にとっては選択肢のなさでもあります。どちらに見えるかは、たぶん一度食べたあとで変わります。
出典
サンアイ食品 有限会社のプレスリリース(note、一次情報)/びっくり亭本家 公式サイト(一次情報)/はてなブックマークのコメント/口コミサイト「エキテン」びっくり亭 本店のページ
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