頼んでないお皿が
止まらないんだけど

――アメリカの配信者レイシーさんが、店員に

10/30 10:40 / 発信国:日本 / 記者:工藤

渋谷の居酒屋で注文用QRが配信に映った 同じことは、くら寿司でも起きていた

2026年10月28日、アメリカの配信者レイシーさんが、東京・渋谷の居酒屋からTwitchでライブ配信をしていた。テーブルに置かれた注文用のQRコードが、カメラに映り込んだ。すると、頼んでいない料理と飲み物が、次々と運ばれてきた。

レイシーさんはカメラを指さし、店員に「(視聴者が)QRコードを見たのかもしれない。これ以上は注文しません」と話した。それでも注文は止まらない。店員が持ってきた最初の伝票は、50万円を超えていた。

「189万円払った」と話したが、店は請求していないと言う

レイシーさんは配信で「みんなが面白半分でこんなことをしたせいで、1万2000ドル(約189万円)以上も払わなきゃいけなかった」「こんなことは今まで見たことがない、すごく腹が立っている」と話した。Twitchのフォロワーは351万人。ペンシルベニア州出身の23歳だ。

ところが、店の言い分が違う。舞台は「釣船茶屋ざうお渋谷店」。海外メディアのDexertoによると、ざうお渋谷店はインスタグラムで説明を出した。第三者が勝手に注文したことは認めている。そのうえで「もちろん、そういった品について、お客様に料金を請求することはありません」(訳)と書いた。食べた分だけを請求し、客に確かめて、出していない料理は捨てたという。189万円を払ったという話を、店側は認めていない。

同じことは、2025年1月にくら寿司で起きていた

外国人だから、言葉が通じなくてこうなった。そう読みたくなる話だ。でも、同じ事故は日本人の客にも起きている。

回転寿司のレーンに並ぶ皿
写真はイメージ Photo by Rizal Saputra on Unsplash

2025年1月7日、ニコニコ生放送の配信者「ぞっくん」が、くら寿司で注文用のQRコードを配信に映してしまった。視聴者が遠隔で寿司を大量に注文し、テーブルは皿で埋まった。この日の食事代は7,450円だった。

なぜ、他人が注文できるのか。テーブルに貼ったまま使い続ける「静的QRコード」だと、読んだ人が店の中にいるかどうかを、システムが見ていない。注文システムを売るディジショットは、2025年1月にこう書いている。ある大手チェーンのQRコードを、店から20〜25キロ離れた自宅で読み込んだ。それだけで、実在するテーブルに注文を足せた、と。売り手が自社サイトに載せた検証なので、そのまま一般化はできない。

対策の機能は、もうある。USENのモバイルオーダーは、客ごとにQRコードを出す。そのテーブルの会計が済むと、注文用のURLが使えなくなる。別のサービスFunfoには、店から離れた場所では注文できないGPSの設定がある。半径500メートルから100メートルの間で決められる。注文ページ自体の有効期限(初期設定は90分)も付いている。

では、使っていない店ならどうなるか。QRコードを見た人なら、誰でも注文できる。配信していなくても、隣の席から写真を撮られただけで同じだ。

一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会は2024年10月、テーブルのQRコードを使った詐欺に注意するよう呼びかけた。コードを偽物に貼り替え、偽の注文・決済画面でカード番号を抜く「クイッシング」の手口だ。呼びかけの相手は、外国人観光客ではない。

ネットの評判

はてなブックマークでは、この話を伝えたハフポスト日本版の記事に47件のコメントが付いた(ブックマークした人は106人)。多かったのは「189万円は盛っているのでは」という疑いだ。「支払ったレシートが映っていない」「店なら確認に来るはずだ」と、金額そのものを信じない声が並ぶ。裏取りをせずに載せた報道への批判も出た。

仕組みの側を見る声もある。あるユーザーは、QRコードには誰でも注文できてしまう弱さがあると書き、パスコードが必要だと指摘した。まとめサイトのコメント欄では、回転寿司の実例を挙げて「こういうことは繰り返される」と書く人もいた。

189万円が本当かどうかは、まだ決着していない。ただ、テーブルの1枚のQRコードを読めば、店の外にいる人でも注文を足せる。この部分は、店も、配信者も、金額を疑うネットの声も、誰も否定していない。

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