別に、うまけりゃ
いいんだけどな

――ある回転ずしの客が

写真はイメージ Photo by Rizal Saputra on Unsplash

10/28 17:45 / 発信国:日本 / 記者:工藤

スシロー11品目の「中国産マグロ」 4社の原産地開示を比べてみた

回転ずしチェーンの「中国産食材」を調べた記事が、10月末にネットで広く読まれました。デイリー新潮が伝えた週刊新潮の調査では、外食24ブランドの272メニューで中国産食材の使用が確認されたとのことです。業界1位のスシローについては、11品目で中国産のマグロを使っているとされ、「厳選まぐろ赤身」「ねぎまぐろ軍艦」「鉄火巻」などが挙げられています。

この手の記事が出ると、「やはり国産にこだわってほしい」という声が強く上がります。ただ、はてなブックマークのコメント欄には、まったく別の受け取り方も並んでいました。そこで今回は、各社が公式に出している原産地情報の「書き方」を突き合わせて、何が分かり、何が分からないのかを整理します。

大手4社とも公開、ただし書き方がそろっていない

前提として、外食の原産地表示は法律上の義務ではありません。食品表示基準では、店内で飲食させる場合や、包装せずに売る場合は表示義務の対象外とされています。

積み重ねられた海苔
写真はイメージ Photo by victoria. on Unsplash

農林水産省は2019年3月に「外食・中食における原料原産地情報提供ガイドライン」をまとめましたが、これは自主的な情報提供のための指針で、強制力はありません。それ以前の「外食の原産地表示ガイドライン」は廃止されています。どこまで書くかは、各社の判断に委ねられているわけです。

筆者が公式サイトをたどったところ、4社とも原産地情報は公開していました。スシローは「原料原産地情報」のページで、農林水産省のガイドラインに従い、主要メニューの主な原材料について原産地を表示するとしており、一覧はPDFです。はま寿司も「原産地情報」のページでPDFを公開し、使用する米は全て国産米であること、食材はグループの検査基準にのっとって検査していることを書いています。くら寿司とかっぱ寿司も、同じようにPDFの一覧を置いていました。

そろっていないのは、中身の書き方です。マグロのように海域で書かれる食材があり、「太平洋」「大西洋」とあっても、中国で加工されたものである可能性は残ります。東京海洋大学の特任教授は、消費者が本当に知りたい漁獲地と加工地が、分けて表示されていないと指摘しています。

スシローの11品目と、船籍地という答え

今回いちばん引っかかったのはここです。デイリー新潮によると、スシローは原産国の書き方について、船籍地を原産国として記載していると答え、加工場については回答がありませんでした。「中国産マグロ」という表記は、中国の船が獲ったという意味であり、中国で加工したとは限らないことになります。

皿に並んだまぐろの握り
写真はイメージ Photo by FlyD on Unsplash

ほかの3社の答えも分かれました。くら寿司は「熟成まぐろ」について、主に国産としつつ中国産も含むと回答。はま寿司は全体の割合からすると少数としながら、中国で水揚げ・加工したものも一部含むと説明。かっぱ寿司は期日までに回答がなかったと報じられています。

魚以外では、はま寿司とかっぱ寿司で、のりやガリ、巻物のかんぴょうに中国産が使われているとされます。スシローも自社サイトで、赤貝、アサリ、イカ、タコ、アナゴに中国産があることを開示しています。水産アナリストは、大手は一年を通して一定の価格で安定して仕入れる必要があり、国内の水揚げだけでは足りないと説明しています。

ネットの評判

はてなブックマークでは、この前編の記事に55人がブックマークを付け、コメントが並びました。

気にしない側からは、「健康被害が出てないし味に文句も出てない以上、何が悪いのかさっぱりわからん」「水産って水揚げされた港の区別でしかないし、基本遠洋にいるマグロが中国産って言われてもなあ」という声。「マグロって基本全て太平洋産じゃないの?」「なお中国は太平洋に面していません」と、原産地という言葉の定義そのものに突っ込む書き込みも目立ちました。

一方、気にする側からは「中国産なのは別にいいんだけど水あげから加工まで一貫して管理下にあるのか気になる」「捕ってるところは同じ海上なのでどうでもいいけど、水揚げから加工までの安全性が不安」と、加工の工程に向けた不安が出ていました。過去に一酸化炭素で色を明るくしたマグロの輸出があったため信頼が落ちているという指摘や、乱獲を心配する声もありました。

まとめ

4社の公式情報を並べて分かったのは、産地を隠している会社があるというより、書く基準がそろっていないことでした。国名で書く欄と海域で書く欄が混ざり、加工した国は多くの場合書かれていません。

「国産にこだわるべき」と考える人にも、「味と値段で選ぶ」と考える人にも、判断の材料は同じ場所に置かれています。各社の公式サイトの原産地情報のページを開けば、PDFの一覧を確かめられます。自分が気にしているのは獲った場所なのか、加工した場所なのか。そこを先に決めておくと、見るべき欄が変わってくるという印象です。

出典

農林水産省「外食の原産地表示ガイドライン」のページ、はま寿司「原産地情報」、スシロー「原料原産地情報」、かっぱ寿司のメニューページ、デイリー新潮の調査記事(前編・後編)、はてなブックマークのコメント欄を参照しました。

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