これ、AIが作った曲
だったのか

――曲名の下の表示を見た聴き手が

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10/19 14:22 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

YouTube Music、曲名の下に「AI」 なぜ今わざわざ教えるのか

2026年10月14日、GoogleがYouTube Musicの画面を少し変えた。曲名のすぐ下に、小さく「AI」と出るようになった。生成AIが大きく関わった曲に付く印だ。押すと、AIがどう使われたのかの説明が開く。

付け方はこうだ。曲を配信する音楽会社が、音源を送るときにメタデータで3つから選んで申告する。「Fully Gen AI(全て生成AI)」「Partly Gen AI(一部生成AI)」「No Gen AI(生成AIなし)」の3つだ。Auto-Tuneのような、歌の音程を直すソフトを使っただけなら「生成AIなし」に入る。

申告がなくても、YouTube側で判定する。自社の検出ツールと、C2PAの2.1以降のデータを使うという。Googleは2026年5月にも、作った人の申告がなくても、よくできたAIの使用を見つけたら自動でラベルを付けると発表していた。表示はまずYouTube Musicから。そのあとYouTube本体のアプリにも広げる。

なぜ、わざわざ教えるのか

YouTubeは公式ブログで理由をこう書いた。「AIで作られた曲を聴いているときには透明性が欲しい、と聴き手から言われてきた」(訳)。言われてみればそうかも、という話ではある。でも、この決定の後ろには、効いている数字がある。

ヘッドホンで曲を聴く場面のイメージ
写真はイメージ Photo by Tomasz Gawłowski on Unsplash

聴き放題サービスのDeezerが、調査会社のイプソスと組んで2025年11月に出した調査だ。日本を含む8か国、9000人に3曲を聴かせた。2曲がAIの完全生成、1曲が人間の作。どれがAIかを当ててもらった結果、外した人が97%だった。当てられたのは3%。

結果に驚いたと答えた人は71%。区別できないことが気持ち悪いと答えた人は52%。そして、100%AIで作った曲にはっきりラベルを付けるべきだと答えた人が80%いた。聴き放題を使っている人のうち73%は、おすすめに出てくる曲がAIかどうかを知りたいと答えている。

耳では分からない。だから画面で言うしかない。ラベルは「余計なお世話」に見えるかもしれないが、聴き手の側が先に頼んでいた、という順番だ。

ネットの評判

日本では、5ちゃんねるのニュース速報+板のスレッドで、判定の精度を疑う声が目立った。「どうやって判別するんだよ。そんなもん完璧じゃないだろ」「識別に精度の怪しいAI使って誤認定量産しそう」。自分で作った曲にAIの印が付いて揉める人が出る、という書き込みもあった。

いたちごっこを心配する声もある。「ツールで見破られないようにAIが対策し始めたね」。一方で「いい取り組みだとは思うけど精度はどんなもんなんだろうな」と、方向そのものは認める書き方も混じっていた。

では、精度はどれくらいなのか。ここがいちばん答えが出ていない。YouTubeは検出の正確さや、どこからをAI扱いにするかの線引きを説明していない。

教えてはくれるが、外してはくれない

量の話をしておく。Deezerには2026年7月の時点で、完全にAIが作った曲が1日に約9万曲届いていた。届く曲の半分以上がそれだという。3分の曲として並べれば、休まず聴いても半年ほどかかる量だ。それが毎日である。

これだけ届くなら、聴き手は「よけたい」と思うはずだ。ところが、YouTubeのラベルは教えるところで止まっている。AIを使ったと申告しても、おすすめや収益化で不利にはならないとYouTubeは言っている。ラベルが付いた曲をミックスやラジオ、自動再生の列から外す設定は、発表されていない。

ほかのサービスは一歩進んでいる。Deezerは検出したAIの曲を、おすすめや編集プレイリストから外している。TIDALは完全AIの録音にラベルを付け、聴き手の側でオフにできるようにしている。Apple Musicは2026年の後半に「Made With AI」の表示を入れる予定だという。

YouTube Musicのラベルは、「これはAIだ」と教えてくれる。ただ、その曲を自動再生から外すボタンは、まだない。

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