1000円おろすのに
220円かかるんですね
――あるATMの前での、ひとこと
写真はイメージ Photo by Nick Pampoukidis on Unsplash
「北欧は現金が使えない人を排除」は本当か 公式の数字で比べてみた
2026年11月1日にXへ投稿された一文が、まとめサイトのTogetterで広まりました。「ヨーロッパ、特に北欧はクレカやスマホ決済出来ない人を社会から排除する勢いが凄いらしい」。店の多くが現金を使えず、現金を預けたり下ろしたりする場所もほとんどなく、高い手数料を取られる、という内容です。
筆者が公式の情報を調べると、意外なことが分かりました。そのスウェーデンでは2026年7月1日から、食料品店と薬局に現金での支払いを受け入れる義務が課されています。
スウェーデンで実際に起きていること
スウェーデン政府の事業者向けサイト「verksamt.se」が載せる2026年の法改正一覧には、こうあります。有人レジのある実店舗の食料品店と薬局は、原則として現金を受け取る義務を負います。銀行は、消費者が現金を預けられる場所を確保し、店や企業が日々の売上を預けたり釣銭を用意したりできるサービスを提供する義務も負います。
AFPによると、政府がこの法案を議会に提出したのは、ロシアのウクライナ侵攻以降に進めてきた民間防衛の強化の一環です。エリック・スロットネル行政相は「社会のデジタル化は非常に急速に進み、多くの機会を生み出したが、一定のリスクも伴っている」と述べ、高齢者のデジタルディバイドの広がりも課題に挙げました。中央銀行リクスバンクは、成人1人につき1000クローナ(約1万7000円)の現金を手元に置くよう勧告しています。
「排除する勢いが凄い」と言われた国が、法律で現金を守る側に動いた形です。
では「現金不可の店が多い」はどうでしょうか。ニュースサイトThe Nordic Timesが紹介した2024年のNorstat調査では、現金を受け付ける小売店は48%、サービス業の店舗は29%、レストランとカフェは43%、食料品店はおよそ80%でした。小売の30%は、現金の取り扱いをやめる意向だと答えています。業種によって事情がまったく違うようです。
手数料を計算してみた
「凄い手数料を取られる」の部分は、半分当たっていました。
比較サイトbankvaletによると、全国に380台あまりの独立系ATMを持つKontantenは、2026年5月29日から引き出しに手数料をかけています。100〜200クローナで15クローナ、300〜1000クローナで20クローナ、1100〜2000クローナで25クローナです。The Nordic Timesは、同社の引き出し件数が2017年の約1550万件から約700万件へ減ったことが理由だと伝えています。
一方、大手銀行が出資するBankomatは手数料を取っていません。ただし台数は2024年末の1206台から、2026年は約1100台に減っています。
ここで計算してみます。100クローナを下ろして15クローナなら、手数料率は15%。1000クローナで20クローナなら2%です。少額を下ろすほど率が跳ね上がる構造でした。
日本はどうなっているか
同じ計算を日本でやってみます。
三菱UFJ銀行の公式サイト(2026年3月31日現在)では、セブン銀行とローソン銀行のATMを使うと、平日8時45分〜18時は220円、それ以外の時間は330円。イーネットは198円と308円です。自行のATMは8時45分〜21時が無料、それ以外は110円でした。
1万円を下ろして220円なら2.2%。1000円を下ろして220円なら22%です。少額を下ろすほど損になる構造は、スウェーデンと変わりません。
金額でも並べてみます。AFPの換算(1000クローナ=約1万7000円)で計算すると、Kontantenで1000クローナを下ろす手数料20クローナは、およそ340円。三菱UFJのコンビニATMを時間外に使うと330円です。ほぼ同じでした。
「使えない人」の数も見ておきます。総務省の令和7年通信利用動向調査(2026年5月29日公表)では、インターネット利用率は全体で85.7%、70〜79歳は71.9%、80歳以上は37.1%。スマートフォンの保有率は全体で78.9%です。
経済産業省のキャッシュレス推進検討会のとりまとめ(2025年12月)では、日本のキャッシュレス決済比率は従来の指標で42.8%、持ち家の帰属家賃を分母から除いた新しい指標で51.7%(いずれも2024年)。政府は新しい指標で80%以上を目標に掲げています。
ネットの評判
Togetterのまとめでは、見方が分かれていました。
歓迎する側には、「日本はそのへん『マイナンバーカード』になりつつあるから」とデジタル化の流れを当然とみる声や、Suicaなどの交通系カードの普及を挙げる声があります。日本は「現金信者が多すぎて」あと30年は大丈夫だという、皮肉を込めた見方も出ていました。
不安を示す声もあります。「サイバー攻撃増す一方なのに、そっちに進んでいいのかね」。「キャッシュレス化そのものには賛成だが現金下ろしたら別途費用を請求するのはやめろ」という書き込みは、仕組みではなく手数料そのものへの抵抗です。
現地を知る人からは、別の角度の指摘も出ていました。「北欧、低属性でもクレカ作れるし、ホームレスも電子決済でお金受け取る」。デンマークではMobile Payが主流で、旅行者だと「クレカないとまじで詰む」という声もありました。
まとめ
数字を並べてみて、筆者がいちばん引っかかったのは手数料の率です。少額を下ろす人ほど高い率を払う構造は、スウェーデンでも日本でも同じでした。
スウェーデンは、店に現金を受け取らせ、銀行に預け先を用意させる方法を選びました。日本は比率の目標を上げる方法を進めています。どちらが自分の財布に合うかは、月にいくら現金を下ろすかで変わってきそうです。
うちのソース付けて食うわ
日本人は何も言えんやろ
――フランスから投稿した人が、日本人に
残ったのは、高い席ではなかった
Number_i札幌ドームの空席報道
そのメモリ、ほとんど
使ってないよね?
――32GBのメモリは、半月で13.7%上がった
- 「北欧はクレカやスマホ決済ができない人を社会から排除する勢いが凄いらしい」
- Law changes in 2026(verksamt.se/スウェーデン政府の事業者向け公式サイト)
- キャッシュレス先進国スウェーデン、現金決済受け付け義務化へ 戦争などの有事に備え(AFPBB News)
- Payments Report 2026: Measures needed to reduce vulnerability and increase inclusion in the payments market(リクスバンクのプレスリリース)
- Swedes charged to withdraw their own cash from ATMs(The Nordic Times)
- Sweden has lowest cash usage in the world(The Nordic Times)
- Avgift för kontantuttag 2026(bankvalet.se)
- ATM利用手数料(三菱UFJ銀行)
- 日本のキャッシュレス比率はすでに50%超え? 新指標で80%を目指す(Impress Watch)
- インターネット利用率、80歳以上は37.1% 全体85.7%(総務省・令和7年通信利用動向調査の報道)
あなたへのおすすめ よく読むカテゴリーから
こちらの記事も
源泉所得税が納付できないんだけど、どうすれば
――納期限は11月10日、期限延長の案内はまだない
e-Taxの緊急メンテはいつ復旧?源泉所得税の納期限は11月10日
スマホがない人は、
どうやって下ろすの?
――三菱UFJ「エムットバンク」、2027年1〜3月ごろ開業
三菱UFJのデジタル銀行、キャッシュカードなし スマホがない人はどうなる
車が道路に
はみ出てるよ
――ママ友に言われて、ハッとした
「アルファードが家に入らない」 年収500万円で買うのは、身の丈に合わないのか
新型に乗り換えれば、
月3万円台のままですよ
――あるディーラーが、満期を迎えた客に