映画館が客30人に催眠をかける

忘れる映画は、多数決で決まる

写真はイメージ Photo by Peter Herrmann on Unsplash

11/4 10:50 / 発信国:オランダ / 記者:宮村

オランダの映画館が30人に催眠をかける実験、忘れる映画は多数決で決まる!

オランダの映画館チェーンPathéが、客30人に催眠をかける。目的は、好きな映画を忘れさせることだ。11月9日、ハーグのPathé Buitenhofで本当にやる。

企画の名前は「Pathé REWIND」。催眠療法士のVictor Kraemerと組んだ。選ばれた30人は、10月30日から11月8日の間に、Kraemerとオンラインで1対1のセッションを受ける。上映の直前にもう一度催眠をかけられ、そのまま大画面で映画を観る。参加は無料だ。

なぜそんなことを。Pathéの広報担当Imke van Schaaijkさんは「自分のいちばん好きな映画を、もう一度いちばん最初に観たいと思わない人がいるだろうか」と話している(オランダのマーケティング誌Fonk、オランダ語から訳)。初めて観たときの驚きが戻るのかを確かめる、という実験だ。

忘れる映画は、多数決

忘れたい映画を、自分では選べない。

暗い上映室で光を放つ映写機
写真はイメージ Photo by Alex Litvin on Unsplash

応募で選べたのは「マトリックス」「セブン」「ラ・ラ・ランド」「インターステラー」の4本。公式ページには、応募がいちばん多かった1本を上映する、と書いてある。その映画を希望した人だけが参加できる。外れた3本に手を挙げた人は、記憶をそのまま持ち帰る。記憶を消す実験が、多数決で動いているのだ。

条件はほかにもある。18歳以上、オランダ在住。応募は10月29日の23時59分まで受け付けた。

公式が「保証はしない」と書いている

大丈夫なのか。公式ページには、はっきり書いてある。催眠のセッションで望む効果が出る保証はしない。参加は自由で、いつでもやめられる。結果やその後についてPathéは責任を負わない。倫理の審査を受けたかどうかは、公式の説明では確かめられなかった。

科学の側は慎重だ。イギリスのTech Timesは、2015年の研究では催眠そのものが記憶の誤りに影響しなかったと伝えている。アメリカ心理学会は、催眠中の問いかけが偽の記憶を生むおそれを注意しているという。

それでも30人は手を挙げた。記憶を操作されてもいいから、もう一度初めて観たい。危なっかしい願いだが、映画好きなら少し分かる。

応募の条件には、こうも書いてある。忘れたいその映画を、1回以上観ていること。忘れるには、まず覚えていないといけないのだ。

それでも、もう一度初めて観たいという願いは、まっすぐで気持ちがいい。

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