数千個のUSBが消え、数すら数えられない

イギリスの情報機関GCHQ/監督機関の年次報告書

11/3 19:13 / 発信国:イギリス / 記者:宮村

英情報機関がUSBを数千個紛失、数えられないのは貸出記録が壊れていたから

イギリスの情報機関GCHQが、USBメモリや外付けハードディスクを数千個なくした。しかも、何個なくしたのかを、何年たっても答えられない。えっ、数えればいいのでは。。。

明らかにしたのは、情報機関を外から点検するIPCO。2026年10月29日に出した2025年分の年次報告書に書かれていた。行き先が分からないのは、USBメモリ、外付けハードディスク、CD、メモリーカードなど、持ち運べる記録媒体だ。

報告書は「これは非常に多い数で、GCHQは現時点で数千個と見積もっている」と書いた。中には、捜査権限法に基づいて集めたデータが入っているものがあるかもしれない。傍受したメールや通話の記録である。

監督機関の言葉は厳しい。委員長のブライアン・レベソン氏は「数年前に最初に指摘したにもかかわらず、GCHQは、失われたリムーバブルメディアの規模、場所、復元可能性について、いまだ十分に明確な把握をしていない」と書いた。報告書は「この問題を今も非常に懸念しており、GCHQの調査にかかっている時間に失望している」とも述べている。

では、中身は漏れたのか。報告書には、敵対する相手がこの記録媒体にアクセスしたという証拠は書かれていない。

数えられなくて当然、という読み方

GCHQ側の説明を読むと、話が少し変わる。

広報担当はこう話した。「リムーバブルメディアの管理システムは、以前は、使用登録された物品を効果的に追跡できるほど頑丈ではなかった」。システムが出すデータに欠陥があったと監督機関が指摘したのは「正しい」とも認めた。報告書も、原因は、貸し出しと返却を記録する仕組みの弱さだとしている。

ここに、少数派の見方がある。記録する仕組みが壊れていたのなら、「何個なくしたか」という数は、そもそもどこにも存在しない。数えられないのが当然で、数千個という数字も、なくした物の数というより記録の不備の数に近い。だから「数も言えないとは何事だ」ではなく、「言えるわけがない」になる。

もちろん、「それで済む話か」という声のほうが大きい。中身は、他人の通信だ。

では、どうするのか。GCHQの対策は、持ち出しと保管、置き場所を自動で追う新しいツールを入れることだ。使い始めるのは2026年中の予定である。

他人の通信を集めるのが仕事の機関は、自分の備品の行き先を知るために、持ち出し管理ツールを買った。それが動けば、ようやく数が言えるらしい。

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