『物価2%、達成しました』
で、うちの年金は?

――13年越しの「目標達成」が決まった日に

写真はイメージ Photo by Erik Mclean on Unsplash

10/30 17:55 / 発信国:日本 / 記者:工藤

日銀が「2%達成」と判断した日 年金は4年連続で物価に届かず

日銀は10月30日の金融政策決定会合で、基調的な物価上昇率が目標の2%と「おおむね整合的な水準となっており、先行きも同程度で推移すると考えられる」と判断した。2013年1月に2%の目標を掲げてから、13年超。政策金利は1.25%程度のまま据え置いた。

13年かけて、やっと届いた。ではこの13年で、暮らしは良くなったのか。

2%の目標は、デフレ脱却を目指す第2次安倍政権と日銀が2013年1月に取り交わした「共同声明」に入ったものだ。同年3月に就任した黒田東彦総裁(当時)の下、日銀は「2年程度」で達成する方針を決めた。実際は13年超かかった。今回の決定には、政策委員9人のうち8人が賛成した。高田創審議委員は、1.5%程度への利上げを求めて反対した。日銀の中にも「もっと上げろ」という声はある。

年金の伸びは、4年続けて物価に届いていない

2026年度の年金額は、厚生労働省が1月23日に発表した。基礎年金は前の年度より1.9%、厚生年金は2.0%のプラス。4年連続の増額だ。ただ、計算のもとになった物価変動率は3.2%だった。賃金の変動率2.1%からマクロ経済スライドの分を引いて、1.9%になっている。この仕組みが使われるのも、4年連続だ。

電卓と家計の書き込み
写真はイメージ Photo by FIN on Unsplash

数字にすると、こうだ。会社員だった男性の例では、月17万6793円で、前の年度より3336円増えた。前の年度は17万3457円。物価が3.2%上がった分をそのまま足すなら、5551円増えていいはずだった。差は月2215円、1年で2万6580円になる。

普通預金は0.5%、食料品は2.9%

預けている側はどうか。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行は、11月2日から円普通預金の金利を0.5%に引き上げる。これまでは0.4%だった。ゆうちょ銀行は11月9日からだ。

預金通帳と小銭
写真はイメージ Photo by Brecht Corbeel on Unsplash

一方、9月の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で前の年の同じ月より2.1%上がった。生鮮食品を除く食料は2.9%。緑茶は33.8%上がり、比べられる1971年以降でいちばん高くなった。トイレットペーパーは17.8%、サンマは不漁が続いて27.8%だ。

で、いくら増えるのか。100万円を1年、普通預金に置くと0.5%で5000円(税引き前)。同じ1年で食料品が2.9%上がると、月3万円の食費の家なら1万440円多く払うことになる。

しかも日銀は、2027年度の物価上昇率の見通しを、前回の2.4%から2.6%に上げた。「2%に届いた」と言った会合で、来年度はそれを超えると見ている。野村総合研究所(NRI)の木内登英氏は、12月の会合で0.25%の利上げがあると見込み、来年から再来年にかけて政策金利は1.75〜2.0%まで上がると予想している。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄には、厳しい声が目立つ。テレビ朝日系の記事に付いた9件では、値上がりの中身は原材料費が上がった「コストプッシュインフレ」なのに、それを利上げの根拠にするのはおかしい、という指摘がいちばん反応を集めた。利上げは個人や中小企業、特に地方に重い、という心配も書かれている。物価が上がった主な理由は原油高だとして、日銀は金融機関の利益誘導しか考えていない、という批判もあった。基調的な物価上昇率の計算そのものを疑い、「実体経済との乖離は甚だしい」と書いたコメントもある。読売新聞の記事に付いた3件では、「そもそも2%上げてくれなんて誰も言ってないのに当たり前にこの目標でやってるのが異常」というコメントが共感19を集めていた。コメント欄は、利上げを止めてほしいという声と、2%の目標そのものがおかしいという声に割れている。

日銀が「2%に届いた」と判断した3日後の11月2日、メガバンク3行の普通預金は0.5%になる。9月の食料品の値上がりは、2.9%だった。

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