生活保護で車とか、
ずるくない?

――ある納税者が、SNSに

写真はイメージ Photo by Alexander Lunyov on Unsplash

10/29 10:31 / 発信国:日本 / 記者:工藤

生活保護で車がOK? 厚労省が検討しているのは未就学児のひとり親だけ

生活保護を受けている人が車を持てるようにする。厚生労働省がその検討に入ったと、朝日新聞が10月23日に報じた。対象は、未就学児を育てるひとり親の世帯。しかも、車がなければ働くのも子育ても難しい地域に限る、という条件つきだ。都市部は外れる。ずいぶん狭くない?

この報道を受けて、自民党広報本部長の鈴木貴子衆院議員が同じ日にXへ投稿した。「地方において、車は贅沢品ではありません。生活と仕事を支える、必要不可欠なインフラです」。ここから火がついた。

女性自身が10月28日に配信した記事には、納税者の怒りが並ぶ。「生活保護受給者が払ってきた人より優雅な生活するのは腹が立つ」。Yahoo!ニュースに載った同じ記事には、1115件のコメントが付いた。

怒られている相手は、何世帯いるのか

女性自身によると、2026年7月時点の生活保護の利用者は196万9655人。このうち母子世帯は5万4892世帯で、全体の3.4%だ。

今回の見直しは、その3.4%の中でも、未就学児がいて、なおかつ車がないと働けない地域に住む世帯に絞られる。

そもそも、なぜ持てないのか。生活保護では、車は売ればお金になる財産とみなされ、原則として手放すよう求められる。保護の実施要領に沿った運用で、元になった通知は半世紀ほど前のものだと、Merkmalは伝えている。ただし今も、障害のある人や、公共交通が著しく使いにくい地域での通勤・通院には例外がある。

その「使いにくい地域」は、広がっている。国土交通省がまとめた交通空白の地区は、全国で2057か所、717の自治体にあるという(Merkmal)。同じ記事によると、2008〜2024年度に廃止された路線バスは約2万7080キロにのぼる。

で、ガソリン代はだれが払うのか

批判がいちばん集まったのは、お金の話だった。買うのも維持するのも、税金なのか。

ガソリンスタンドの給油機
写真はイメージ Photo by engin akyurt on Unsplash

鈴木議員は25日の投稿で、「今回の見直しは、税金で車を買い与えるものではありません」「購入費は原則として別途支給されず、維持費も無条件に公費負担されるわけではありません」と書いた。

厚生労働省保護課も、女性自身の取材に「生活保護費に上乗せ支給することは検討していない」と答えている。外部からの援助か、働いて得た収入から必要経費として差し引く形で対応する、という説明だ。鈴木議員も27日の投稿で、通勤や事業に使う車なら、燃料費や車検代、対人・対物の任意保険料などを「必要最小限度の費用」として収入から控除できる決まりが今もある、と説明した。

つまり、車の代金は出ない。ガソリン代も車検代も、働いて稼いだ中から出す。

いつ、どう変わるのかは、まだ決まっていない。厚生労働省保護課は「現在は自治体との調整段階であり、具体的な運用内容や開始時期について確かなことは申し上げられない」としている。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄では、反対が目立った。「年金を納めてきた人が苦しい」という不公平感と、任意保険に入っていない車が事故を起こしたらどうするのか、という心配の二つが多い。

投稿をまとめたページ(Togetter)でも、賛否が割れている。反対側には「車持って、ガソリン、車検、保険払えるなら生活保護いらないだろ」という声や、車検切れ・任意保険未加入のまま事故を起こすのではという声が上がった。賛成側には、駅まで歩いて1時間以上かかる地域で車なしは無理だという声や、働けるようになれば長い目で見て保護費は減るという声があった。

怒りが向いた先は、生活保護世帯の3.4%を占める母子世帯の、そのまた一部だ。その人たちが車を持っても、代金もガソリン代も、税金からは出ない。

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