カエルが血を一ヶ所に集めて寝るとか、、、大丈夫なの?

――デューク大学の研究チームも、答えを出せていない

写真はイメージ Photo by EcoNaturalist.com on Unsplash

10/27 17:05 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

眠ると赤血球の9割が肝臓へ グラスフロッグの血が固まらない理由は、まだ謎

中米の森にすむグラスフロッグ(ガラスガエル)は、眠っている間、体がほとんど透けて見える。その仕組みを2022年12月、米デューク大学などのチームが科学誌「Science」で報告した。眠ると、全身を回っていた赤血球のうち約9割が、肝臓の中に集まっていたのだ。血を1か所にためて寝ている、ということになる。それ、大丈夫なの?

血を肝臓に押し込むと、2〜3倍透けた

調べられたのは、アマガエルモドキ科のHyalinobatrachium fleischmanniというカエルだ。昼の間、大きな葉の裏にぶら下がって寝る。研究チームの計測では、寝ている間の透明度は、起きているときの2〜3倍になっていた。

緑色のレーザーを使う実験装置
写真はイメージ 撮影 Colin N. Danson et al./CC BY 4.0(ウィキメディア・コモンズ)

難しかったのは、調べ方だった。起きていたり、ストレスを感じていたり、麻酔をかけられていたりすると、血は全身を回ったままで、体は透けない。研究に加わったジェシー・デリア氏はそう話している。気持ちよく寝ているところを、起こさずに覗く必要があったわけだ。

そこで使ったのが光音響イメージングだ。緑色のレーザーを当てると、赤血球がその光を吸い、超音波を出す。それをセンサーで拾う。デューク大学のジュンジエ・ヤオ氏は、造影剤を注射せずに赤血球を見られるのがこの方法の利点だと話している。カエルに注射するのは、とても難しいからだ。

見えたのは、妙な光景だった。カルロス・タボアダ氏は、心臓が血の赤い色を送り出すのをやめ、青みがかった液体だけを送っていた、と話している。肝臓の内側は鏡のような面になっていて、集めた赤血球の赤を隠していた。起きて動き出すときは、赤血球をまた血の流れに戻す。

ネットの評判

科学の話題を扱う5ちゃんねるの板に立ったスレッドでは、結晶みたいだと見た目に驚く書き込みと、なんだか気持ち悪いという反応が並んだ。質問も多い。全身が透けているのに、なぜ血だけ隠す必要があるのか。肝臓に血をためたら、血の流れが止まってしまわないのか。医学の研究に生かせないか、と書く人もいた。海外の生きものの話題を紹介するカラパイアのコメント欄では、グミみたいだという声や、透明になる方向に進化したことへの感心が目立った。読者が挙げた疑問は、研究チームが答えを出せていない点と重なる。

では、なぜ血は固まらないのか

ここが、この研究のいちばん面白いところだ。赤血球を1か所にぎゅっと集めれば、普通は血栓ができる。人間なら命に関わる。なのにこのカエルは、それを数時間、しかも毎日繰り返して平気でいる。

しかも、けがをしたときには、ちゃんと血が固まる。固まる力を捨てているわけではない。タボアダ氏は、出血を止める力を残したまま固まりすぎを防ぐ仕組みは「血液学の聖杯」と呼ばれてきた、と話している。医学が何十年も探してきたものだ。

では、その仕組みは何なのか。そこが書かれていない。デューク大学の発表も、ほとんどの赤血球を肝臓に安全にためられるのはなぜか、という問いが残ったとしている。赤血球をどうやって動かしているのか、カエルが自分で操っているのかも、分かっていない。次の段階として、この仕組みが人の血管の病気に生かせるかを調べたい、という書き方だ。

日本語で紹介された記事でも、血栓の病気や脳卒中を防ぐのに生かせるかもしれない、という点が取り上げられている。期待は分かる。ただ、赤血球の9割を数時間ためても固まらない理由は、発表から4年近くたった今も、分かっていない。

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